朝の散歩
AM6:00丁度、いつもの決まった時間に
決まったジャージを着て
お決まりのコースを散歩するのが日課だ。
家を出て静かな住宅街から地元の商店街を通り抜けて、ありがちですが東京ドーム○個分の大きな公園にたどり着く、今日は天気も申し分ない散歩日和。
ここの公園はとても大きな樹木が多くて、あえて舗装されたコースを外れて雑木林を頭カラッポにして歩くと、本当にリフレッシュする。
仕事終わりの森林浴、この瞬間がたまらない。気持ち良すぎる。
向こうから女性が歩いてきた、小さな犬をつれて散歩をしている。
「スコティッシュテリアですか、珍しいですね」僕はさり気なく話しかけると、彼女は答えてくれた。
「良くご存知ですね、珍しい犬種なんです」
「昔飼ってたことがあるので。少し触っても良いですか」
「もちろん、人懐っこいんですよ、この子」
徐ろに犬をなでなから、散歩のコースや犬の手入れの話など何気ない会話をして彼女と別れた。
僕はいつものベンチに腰掛け、
思いを巡らせながら、スマホでメモを開く。
桜庭美鈴 42歳 独身 六本木のクラブ「シャンティー」のママ 趣味はサーフィン 彼氏は無し 帰宅は決まって午前3時、午後5時に家を出て美容室によったあと出勤のルーティン 歯ブラシはピンク トイレもピンクで統一 下着は黒が好み ブラは引き出しの3段目
犬の名前はチャーリー、大好きなスヌーピーから影響をうけたようだ。
チャーリーを溺愛しているため、犬の話になると簡単に心を許すようだ。と
しかし恵子、あいつは全然駄目だった、あんなに愛してやったのに、言うこと聞かないから、俺の嫌いな香水つけたりして、他の男を誘ったりするから。
いったいいつになったら、僕を満たしてくれるパートナーは現れるんだ、どいつもこいつも全然俺のこと解っちゃいなかった。
美鈴、君なら、君ならきっと
私を満たしてくれるよね。
愛しているよ、美鈴。
「今日も朝の散歩ですかね?」
いつもラジオ体操をしているおじいちゃんだ。
「ええ、いつもとおんなじ、平和です」
ラジオから今日も大音量で体操の音楽が流れている。
「♬ ♪ ♪‥‥ ここで臨時ニュースです、昨夜未明○○県✕✕市△△町で女性の遺体が発見されました、被害者は脇坂恵子さん40歳、他殺の可能性が高く、警察は✕✕市で3件連続している殺人事件との関連を調べています………」
「いやーまさかこの辺でこんな物騒なことがあるなんてなぁ、お兄ちゃんも気をつけてな」
「はい、おじいちゃんも」
軽く会釈をしていつもの道を歩きだす。
やっとインナーのシャツも乾いてきた
、只随分赤く染まってしまったので、これは捨てるしかないのかな。
そんな事を考えながらお気に入りの大きな木の下に座り込んだ。
朝の散歩は本当にキモチいいなぁ