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19-13 助けを求めるシュミット

 その頃、メイドとして働いていたセリアはミカエルとウリエルの部屋で2人の為にお茶を煎れていた。


「はい、どうぞ。ミカエル様、ウリエル様。今日の紅茶はハニーレモンティーですよ。熱いので気を付けてお飲み下さいね」


 セリアは2人の前に紅茶を注いだカップを置いた。


「うわ~。いい匂い」

「美味しそうだね」


 ミカエルとウリエルが嬉しそうに紅茶を手に取った。


「こちらのクッキーは私が焼いたものです。どうぞお召し上がりください」


 さらにセリアは2人にクッキーを勧めた。


「え?セリア特製クッキーなの?嬉しいな」


 ミカエルが目を見開く。


「僕、セリアの作ったクッキーが一番好きだよ!」


 ウリエルはニコニコしながらセリアを見つめた。


「そうですか?どうもありがとうございます」


 返事をしながらセリアは2人を愛おし気に見つめる。

 初めにエルウィンからアリアドネの代わりに2人の専属メイドになって貰いたいと頼まれた時は抵抗を感じた。


 何故ならウリエルは我が子であり、その事実をウリエル自身は知らないからである。私情を挟んで、ウリエルを優先してしまうのではないかと思っていたがそのような心配は稀有だった。


(フフフ……お2人とも何て可愛らしいのかしら。アリアドネやエルウィン様が分け隔てなく可愛がっていた理由が今なら良く分かるわ)


「ねぇ、エルウィン様の具合は良くなったんだよね?僕、会いに行ってこようかな。リアも一緒にいるんだよね?」


 ウリエルの言葉にミカエルが反対した。


「駄目だよミカエル。マティアスとスティーブが言ってたじゃないか?2人の恋路の邪魔をしてはいけませんって」


「こいじ……?こいじって何?」


 ウリエルが首を傾げる。


「まぁ!マティアス様とスティーブ様はミカエル様にそのようなことを話されていたのですか!?」


「うん、そうだよ。だから暫くは会いに行かないようにって言われいるんだ」


「そうなのですか……」


 セリアはその言葉に頭を抱えたくなった。


(全く……あの方達にも困ったものだわ。まだ幼い子供たちに妙なことを吹き込まないで下さいと釘を刺しておかなければ……)


 その時――


 コンコンコンコン!


 随分切羽詰まった様子のノック音が部屋に響いた。


「誰か来たね?」


 クッキーを食べながら扉を見るウリエル。


「私が様子を見て参りますね」


 セリアは扉に向かうと声を掛けた。


「どなたですか?」


『私です!シュミットです!』


「え?シュミット様?」


 扉を開けると、そこには息を切らせたシュミットが立っていた。


「まぁ、シュミット様。一体どうされたのですか?ミカエル様とウリエル様に御用があったのですか?」


「エルウィン様に……た、大変なことが起こっています!」


 シュミットは興奮気味にセリアに訴えて来た。


「え?!まさか、またエルウィン様に何かあったのですか!」


 セリアの驚く声にミカエルとウリエルも駆けつけて来た。


「エルウィン様がどうしたの!」

「僕達にも教えてよ!」


「も、もう……私の手には負えません!私を助けると思って……どうかセリアさんの力を貸して下さい!」


 そして頭を下げるシュミット。


「え?わ、私の力を!?とてもではありませんがお役に立てるとは思えませんけど?」


「そんなこと言わずにお願いします!エルウィン様が……恋に狂ってしまったのです!!」


 シュミットの切羽詰まった声が部屋に響き渡る。


「「え……?」」


 セリアとミカエルがその言葉に固まったのは……言うまでも無かった――



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