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19-3 全ての原因は

 アリアドネはエルウィンの言葉をそのままの意味で捉えてしまっていた。


(そ、そんな……聞き間違いでは無いわよね?今、確かにエルウィン様はメイド服を脱ぐように仰られたわ。た、確かに私に出来る事なら精一杯務めますと返事はしたけれども……で、でもきっとそういうことなのよね……?)


 一方、エルウィンはアリアドネが真っ赤な顔のまま固まっている姿が不思議でならなかった。


「何だ?どうかしたのか?」


「い、いえ……あ、あの今すぐでしょうか?」


「うん?ああ、そうだな。今すぐの方がいいな」


(こうでも言わなければアリアドネは着替えて来ないだろうからな)


エルウィンは軽い気持ちで返事をした。


「!」

 

 その言葉にアリアドネはますます真っ赤になったが…‥‥覚悟を決めた。


「わ、分かり……ました……」


 アリアドネは頭に被っていたメイドキャップを外すと、傍らに置かれたサイドテーブルに乗せた。


「?」


 その様子にエルウィンは首を傾げていると、次にアリアドネはエプロンを外して床に落とす。


(何だ?一体アリアドネは何をしようとしている?)


 未だに状況が把握出来ていないエルウィンはアリアドネの行動が理解出来ずにいた。しかし、アリアドネが胸元のボタンを外し始めたとき初めて何をしようとしているのか気付いた。


「お、おい!!な、何をやっているんだ?!アリアドネ!」


 エルウィンは慌てて叫んだ。


「え?で、で、ですから……エルウィン様の仰った通りに……メ、メイド服を……」


 後の方は言葉にならず、アリアドネは真っ赤になりながら俯いた。


「え……?俺が……?」


 一方のエルウィンは何のことか一瞬分からなかったが、すぐに気付いた。


(そ、そうだ!俺は……確かにそんなもの、さっさと脱いでしまえと言った。だからアリアドネは……!)


「ち、違うっ!そんな意味で言ったんじゃない!俺はお前はメイドでは無いんだから、メイド服はやめて違う服に着替えて来いと言う意味で言ったんだ!」


 エルウィンは顔を真っ赤にさせながらアリアドネから視線をそらせる。


「え……?そ、そういう意味だったのですか?!も、申し訳ございません…‥!わ、私としたことが、とんだ勘違いをしてしまって……!」


 アリアドネは、ボタンが外れた胸元を両手で押さえながら頭を下げた。


「い、いや……俺の言い方がまずかったから勘違いされるのも仕方がないが……メイド服を着ているってことは……もうここから出て行かないってことだよな?」


 エルウィンは横目でアリアドネを見ながら尋ねた。


「…‥‥」


 けれど、アリアドネは黙っている。


「何故答えてくれない?俺はお前に出て行かないでくれと頼んでいるんだぞ?」


「で、ですが……私がここにいれば……城の人達にご迷惑をかけてしまいます……」


 元々ここを出て行こうと決めていたアリアドネ。エルウィンの目が覚めたら、きちんとお別れをして去ろと考えていたいたのだ。


「何故、迷惑ばかり掛けてしまうと思っているんだ?そもそも今迄のこと全ての原因はお前が俺の元から離れたからだとは思わないのか。叔父上に連れ去られそうになったことも、ダリウスに攫われたことも……。それに今回は無断で城を出て行ったことも全て……」


 エルウィンはじっとアリアドネの目を見つめながら問いかける。


「そ、それは……」


(言われて見れば確かにその通りかもしれないわ……)


「この城に迷惑を掛けたくないと思うなら……ずっと、俺のそばにいろ……」


 エルウィンはアリアドネの腰に腕を伸ばすと、そのまま抱き寄せた――。

 


 


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