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18-24 後悔?

「エ、エルウィン様……」


 アリアドネはまさか、エルウィンが告白してくるとは思わず、抱きしめられた姿勢のまま固まってしまった。


 その時――。


「うっ……」


 エルウィンが突然呻き、そのままアリアドネを抱きしめたまま仰向けにベッドの上に倒れこんでしまった。


「ウグ‥‥‥ッ!!」


 いくらベッドの上とはいえ、アリアドネを抱きしめたままベッドに倒れこんでしまったのだ。その痛みの衝撃は計り知れない。


「キャアアアア!!エ、エルウィン様!!」


 エルウィンの耳元で思わずアリアドネは叫んだ。


「ア、アリアドネ……頼む……から……み、耳元で…叫ばないでくれ……」


 目を閉じるエルウィンの顔色は真っ青だった。


「あ……も、申し訳ございません!すぐにどきますから!」


 アリアドネは慌ててエルウィンの身体から起き上がると尋ねた。


「エルウィン様……何処か痛むところはありますか…?」


「せ、背中……が……」


 痛みに耐えながらエルウィンは訴える。


「背中ですね?この姿勢では痛みますよね?今向きを変えて差し上げますね?」


「た、頼む……」


 エルウィンは何とか声を振り絞る。そこでアリアドネはエルウィンの肩と腰に腕を差し込みと、必死になってうつぶせの姿勢に変えた。


「はぁ……はぁ……ど、どうですか?エルウィン様……」


 自分よりもずっと大きいエルウィンの身体の向きを変えたアリアドネは肩で息を切らせながら尋ねた。


「う、うむ…‥さ、さっきよりは……ま、マシだ……」


「た、大変だわ!エルウィン様!今のショックで背中の傷が!」


 エルウィンの身体に巻かれた包帯からはうっすらと赤く血が滲んでいる。


「すぐに先生を呼んできますね!」


 そして痛みで返事が出来ないエルウィンを部屋に残し、アリアドネは慌ただしく飛び出して再び医者を呼びに行ってしまった。


 部屋に1人残されたエルウィンは痛みに耐えながら自分のタイミングの悪さを呪った。


(くっそ……折角アリアドネに気持ちを伝えられたと思ったのに……!またうやむやになってしまったじゃないか……!だ、だがまぁいい……。医者の治療が終わったら再度アリアドネに自分の気持ちを告げてやる‥…)

 

 しかし、待てど暮らせど中々医者は現れない。次第にエルウィンは再発した背中の痛みによりまたしても意識が朦朧としてきた。


「い、いつまで待てばいいん‥‥…だ‥‥…」

 

 その言葉を最後に、エルウィンは再び意識を失ってしまった。


 怪我が治ってからアリアドネに告白するべきだった……と後悔しながら――。


 

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