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17-22 彼らはまだ、何も知らない

「ふん、他愛もないね」

「本当だね、お兄ちゃん」


 ミカエルとウリエルは足元で伸びている2人の見張りを見下ろしながら胸をそらした。


「いやはや、お見事でした。ミカエル様、ウリエル様」

「素晴らしいコントロールでした」


 マティアスとカインが感心したように手を叩く。


 実はあの後ミカエルとウリエルは護身用に携帯していたスリングショットでビー玉を飛ばして見張りの男2人の眉間にぶつけて気を失わせたのだった。


「よし、カイン。それでは早速この2人を縛り上げて、民家に隠しておこう」


「はい、マティアス様」


2人の騎士はうなずきあった。


「それじゃ僕達は教会の様子を見てみるよ。行こう、ウリエル」


「うん、お兄ちゃん」


 その言葉に驚いたのはマティアスだった。


「え?いけません。ミカエル様、ウリエル様も。あまりに危険過ぎます」


「そうですよ。我々と一緒に行きましょう」


 カインも慌てて声を掛ける。


「大丈夫だって、窓の外から様子を見るだけだから」


「そうだよ!」


「まぁ……それくらいのことでしたら……」


 見張りの男たちを縛り上げながらマティアスが承知すると、早速ミカエルとウリエルは教会の窓を覗き込んだ。


 すると、そこには大勢の村人たちが教会の祭壇の前に座らされた状態で縛られている姿が目に入った。


「あ!やっぱり村人たちが捕まってる!皆縛られてるよ!」


「見張りはいないみたいだね」

 

 ミカエルとウリエルが交互に中を覗きながら状況を説明する。


「なる程、やはりこの2人は村人たちを見張っていたのだな」


 男たちを縛り上げたマティアスが教会を振り返った。


「マティアス様、すぐに救出しましょう」


「ああ、そうだな!」



 カインの言葉にマティアスは頷き、教会の中へ足を踏み入れた。

 

 そして縛られていた全員の縄を解いて人質たちの救出に成功したのだった――。



****



 一方、その頃――。



 宿屋には総勢53人のカルタン族の残党達が集結していた。


「よし!野郎ども!アイゼンシュタットの邪魔な騎士共は全員深い眠りについてる!今からアイゼンシュタット城を急襲する!何、恐れることはない。我等には人質という最強の手がある。倉庫に捕らえている女と爺を連れて行けば、いくらあの生意気な城主でさえ手も足も出まい!!」


 リーダーの男が得意げに吠えた。


「ああ、そうだ!今こそ我等の力を見せつけてやる!」


「カルタン族の誇りに掛けて!」


「あの生意気な青二才に目に物を言わせてやろう!」


 次々に声高らかに歓喜の声を上げるカルタン族の男たち。



 勿論、彼らは何も知らない。


 激怒したエルウィンが70人もの騎士を引き連れて、この村へ向かっていることも。 


 そして人質として教会に捕らえていた村人たち全員がマティアス達によって解放されたことも――。



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