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14−21 罪の告白

「晩餐会の最中、大変申し訳ございません!」


突然、会場内に良く通る声が響き渡った。


「何?」


その声に聞き覚えがあったエルウィンは振り向き……自分の部下が現れたことに目を見開いた。


「お前……!ナレクじゃないか!何故ここに!」


ナレクと呼ばれた若い騎士はすぐにエルウィンに気付き、啓礼した。


「エルウィン様!申し訳ございません!至急陛下にお伝えしたいことがありまして、離宮より馳せ参じました」


「伝えたいこと……?」


エルウィンは眉を寄せた。


「何事でしょうね?」


一方のベアトリスは自分のせいで騒ぎになっているとは未だに思いもせずに、のんびりした口調でエルウィンに話しかける。


「そなた、ナレクと言うのか。ではナレク、ここでもう一度用件を述べるのだ」


国王はナレクに声を掛けた。


「はっ!では申し上げます!実は王宮より遣わされた5人のメイド達が、エルウィン様の婚約者であらせられるアリアドネ様に執拗に嫌がらせをしていたのです」


「何だってっ?!」


驚きの声を上げたのはエルウィンである。

一方のベアトリスは真っ青な顔で震える。


(だ、大丈夫……あのメイド達は全員私に忠実な僕なのよ。絶対に誰に命じられたか口を割らないはずよ……!それに仮に私だとバレても大丈夫。お父様が私を罰するはずが無いもの)


愚かにもベアトリスは自分が罪に問われるはずは無いと思い込んでいたのだ。


「よし、そのメイド達を連れて参れ」


国王はナレクに命じた。


「はい、陛下」


ナレクは返事をすると、扉を振り返った。


「お前達、陛下がお呼びだ」


すると……。


ビクビクと怯えた様子で5人のメイド達が、やはりエルウィンの部下によって連れて来られた。


そんな状況をエルウィンは呆気にとられた様子で見つめていた。


(一体何がどうなっているんだ?俺の知らない所で何があったんだ?)



 室内に入って来た5人のメイド達を国王はじろりと睨みつけた。


「お前たちは確か……全員、ベアトリス付きのメイドだな?何故お前たちが離宮にいたのだ?別のメイド達を就かせた筈だが?」


国王の声は静かだったが、有無を言わさぬ強さがあった。


「「「「「‥‥‥」」」」」


けれど、メイド達は誰一人返事をしない。


「答えよっ!!」


国王が一喝すると、ついに観念したのかメイド達が震えながら次々に白状していく。


「は、はい……私たちは王女様に命じられました」


「辺境伯様の婚約者を虐めるように言われました」


「わざと悪口聞こえるように、アリアドネ様のお部屋の前で話しをしました」


「食事を満足に用意しませんでした」


「妾腹の娘と言って馬鹿にしました」



「な、何だって……っ?!」


メイド達の言葉で、エルウィンの怒りに火が付いたのは言うまでも無かった――。

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