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11-30 オズワルドの真意は

「俺とオズワルドはある意味協力関係にあったからな……。妙にしつこく俺の出自を聞いてくるから、仕方なく教えてやったんだ。それをまさかお前らに教えていたとはな……あいつはとんだ裏切り者だ!おい!一言、あいつに文句を言ってやる!オズワルドを連れて来いよ!おおよそ反乱に失敗して、どうせお前たちに捕まっているんだろう?」


興奮するダリウスに、エルウィンとスティーブは互いに視線を交わし……エルウィンは口を開いた。


「生憎……連れてきたいのは山々だが……それは無理だな。奴は死んだ」


「何……?死んだ……?」


その言葉にダリウスの目が一瞬、大きく見開かれ……次にダリウスは地下牢の中で高笑いをした。


「アッハッハッハッ!そうか……。奴は裏切り者だから、殺したのか?まぁそうだろうな……。所詮、お前らは血の気の多い蛮族だからな」


「黙れっ!ダリウスッ!確かにとどめを刺したのは俺だが、奴を殺ったのは俺ではない!奴の部下だったロイと言う騎士だ!」


「何……?奴の部下?ロイ……?そうか、あいつは部下に裏切られたのか。ハハハ…傑作だな。それは…。なら、もう理由を問いただすことも出来ないってわけか……」


ダリウスの言葉にエルウィンは首を振った。


「確かに、オズワルドが何を考えて俺たちにお前の国のヒントを残していったのかは知らないが、少なくともダリウスッ!貴様よりもずっとオズワルドの方がまともな男だった!奴は……奴の心は最後まで騎士だった。騎士の誇りを持って、潔く死んでいったのだっ!だが…貴様は何だ?か弱い女を攫い……挙げ句に無理やり手籠めにまでしようとしたクズで最低な男だっ!こんな男が『カフィア』小国の第一王子だとはな……。そんな様子ではあの国も、長くは持たないだろうな?」


腕組みをしながら吐き捨てるようなエルウィンの台詞にダリウスは激怒した。


「何だと?貴様……!誰に向かってそんな口を叩くんだっ!」


鉄格子を握りしめ、吠えるダリウスにエルウィンは冷たい視線を送る。


「俺は今回の件を『レビアス』の国王に報告する。場合によっては貴様の国へ挙兵する許可を得るつもりだ。せいぜい、そこでお前の国の行く末を案じているがいい」


そしてもはやダリウスに目もくれずに、エルウィンはスティーブに声を掛けた。


「行くぞ、スティーブ」

「はい、大将」


そして2人は地下牢を立ち去ろうとした時、ダリウスが叫んだ。


「な、何だと貴様…っ!そ、そうだっ!部下は……俺の部下はどうしたっ?!」


「ああ、貴様の部下なら全員武器を取り上げて、縄で拘束して小舟に乗せて追い払った。運が良ければ何処かの船に拾われるんじゃないか?」


スティーブは振り返ることもなく言い放ち……そのまま地下牢を後にした。


ダリウスの悔しそうな咆哮を聞きながら――。



****


 その後、エルウィンたちはエデルガルトとシュミットを中心に、反乱の後始末に奔走した。


そしてこの夜、アリアドネはミカエルとウリエルと3人で寄り添うようにベッドで眠りに就いた。

互いに亡きロイを思いながら……。




翌朝――


晴れやかな青空の元、ロイの葬儀が厳かに執り行われた。


そして、オズワルドはバルドとドミニコと一緒に静かに埋葬された――。

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