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11-13 ミカエルとウリエルの救出

 オズワルドがバルドとドミニコを殺害している最中……ロイはミカエルとウリエルが閉じ込められている部屋の近くまでやってきていた。


(間違いない……2人はあの部屋の中に閉じ込められているはずだ……)


大扉の前には4人の兵士と2人の騎士が立っていた。

ロイはアイゼンシュタット城内の内部は既に掌握済みだった。

まだたった17歳とはいえ、10年もこの城に住んでいれば当然のことだった。


(全く馬鹿な奴等だ…あんな風に守りを固めていればあの中にミカエルとウリエルがいると教えているようなものだ……)


ロイはここに辿り着くまでに数え切れない程の兵士を相手にしていた。

全て不意をついて襲っていた為、未だにロイの存在は彼等には知られていない。


(相手は6人か……)


ロイは天井を見上げた。

実はアイゼンシュタット城内は天井裏に抜け道があった。

これは要人を逃がす為の通路であり、騎士団長クラスまでの者たちしか知らされていない。

そこでロイは不意打ちをするために天井裏へ登ることにした―――。




****



 ミカエルとウリエルは部屋の中に軟禁状態で閉じ込められていた。


「ねぇ…お兄ちゃん。何か物音がしなかった?」


ふと、ウリエルが読んでいた本を閉じるとミカエルに尋ねた。


「音?う〜ん…僕には何も聞こえなかったけどな…」


ミカエルはどこか抜け道がないか、壁を叩いてみたりベッド下を覗き込んで室内を探索している。


「そうかな〜…絶対に何か聞こえた気がしたんだけど…」


首を傾げるウリエルにミカエルは声を掛けた。


「おい、ウリエル。本なんか読んでいないで2人で一緒にどこか抜け道がないか探すんだよ」


「え〜…抜け道なんかないんじゃないの?」


口を尖らせるウリエルにミカエルはきっぱり言った。


「いいや、絶対にある。前にエルウィン様に聞いたことがあるんだ。この城は迷路のようになっているだけじゃなく、天井裏には秘密の抜け道があるって。僕達だけでその抜け道を探し出して、ここから逃げるんだよ。入り口の扉には見張りが立っているから別の場所から逃げるしか無いだろう?」


「え?でも…もし、そんなことして見つかったらどうするの?」


怯えるウリエルにため息をつくと、ミカエルは自分の考えを述べた。


「いいか、ウリエル。オズワルドはエルウィン様を脅迫する為に僕達を人質にしたんだぞ?このまま僕達が捕まったままだったら、エルウィン様はきっと戦うことが出来ないよ。ウリエルは大好きなエルウィン様に迷惑を掛けていいのか?」


「え?迷惑なんか掛けたくないよ」


「だけど、僕達がオズワルドに捕まっている限りはエルウィン様の迷惑になってしまうんだよ。このままじゃエルウィン様は戦うことも出来ずに…オズワルドに殺されてしまうかもしれない」


「そ、そんな…!嫌だよっ!エルウィン様が死んでしまうなんて…っ!」


ミカエルは涙目になって首を振った。


「よし、なら僕と一緒に抜け道を探すんだ」


「う、うん…!」


ウリエルは涙を拭うと、ミカエルと一緒になって抜け道を探し始めたその時――。


カチャ…


突然部屋の扉が開かれた。


「え?!」

「何っ?!」


2人が驚いて振り向くと、そこにはロイが立っていた。


「あ…ロイッ!」

「ど、どうしてここにっ?!」


ロイが扉を後ろ手に閉めるとミカエルとウリエルが駆け寄ってきた。


「待たせたな、ふたりとも」


駆け寄ってきた2人の頭をロイは撫でた。


「ねぇロイ。見張りはどうしたの?」


ミカエルは何故見張りがいる扉からロイがやってきたのか不思議だった。


「見張りなら気を失っている。邪魔だったから全員縛り上げて納戸に押し込んできた。お前たちは何をしていたんだ?」


するとウリエルが答えた。


「僕達ね、エルウィン様の邪魔にならないようにここを抜け出そうとしていたの」


「抜け道を探そうとしていたんだ」


ミカエルが後に続く。


「抜け道か…。なかなかいい考えだな。よし、俺に着いてこい。この部屋にも抜け道があるからな」



「「うん!」」


元気よく返事をする2人に、少しだけロイは口元に笑みを浮かべた。


「行くぞ」



その後、3人は秘密の抜け道を使って、城の外へと脱出した――。

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