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10-12 ダリウスとオズワルドの関係

 アリアドネはダリウスの言葉に耳を疑った。


一緒に下働きとして働いていたダリウスが、実は小国の第1王子だったことも驚きだった。

しかし、何より衝撃的だったのはダリウスが自分を強引に国に連れ帰って妻にしようと考えていたことだった。


「ダリウス…そ、それでは私を攫ったのは…?」


「ああ、君を自分の妻にする為だ。あの城の内部地図も手に入れたし、何よりも今一番欲しかった君がここにいる。もうあんな場所に用は無い」


「ち、地図…?その地図は…一体どうやって手に入れたの?!」


「そんな話はもうどうでもいいじゃないか?早く食べないと折角の料理が冷めてしまうぞ?」


ダリウスは平然と食事を続けている。


「こんな状況で食事なんか出来るはずないでしょう?一体誰から地図を手に入れたの?教えて!」


「仕方がないな…いいだろう。教えてあげるよ。その代わり…ちゃんと食事をとるんだ」


「分かったわ…」


仕方なしに、パンケーキをカットして口に運ぶと、ダリウスが満足気に頷いた。


「よし、それでいい。なら教えてあげるよ。俺に城内の地図をよこしたのはオズワルドだ。奴と俺は協力関係にあるからな」


「な、何ですって…?一体、どういうことなの…?」


アリアドネの脳裏にずる賢い笑みを浮かべたオズワルドの顔が浮かんだ。


「オズワルドは俺に弱みを握られているからな…。あっさり地図を渡してきたよ。うん、やはり『アイデン』地方の食事は美味いな。俺の国の料理も美味いが、引けを取らないくらい美味い」


「ダリウス、貴方は一体何の弱みを握ったの?」


「う〜ん…本当はこんな話、するべきではないが…君はもう二度とあの城には戻らないのだから、別に話しても平気か」


「何を言ってるの?私はあの城に戻らなければいけないわ。私にはミカエル様とウリエル様のお世話をする仕事があるもの」


「そんな仕事は他の者だって出来るだろう?」


「だ、だけど…私は…本来は…」


「『アイゼンシュタット城』に嫁ぐようにステニウス伯爵に命じられたんだろう?だが、肝心のエルウィンからは拒絶された…それで行き場をなくした君は下働きとしてあの城にとどまることにした」


「…そうよ…」


「君はあの城に本当に自分が必要とされていると思っているのか?」


「え?」


ダリウスの言葉にアリアドネの背筋が冷たくなった。


「むしろ君がいなくなって、厄介払いが出来たと思っているかもしれないじゃないか?エルウィンに内緒で君を城においてあげた連中にとっては」


「!!」


アリアドネはその言葉にビクリとした。

そんな様子のアリアドネを見ながらダリウスは面白そうに笑みを浮かべた。


「まぁ、少し話はずれたけど…さっきの話の続きをしようか?俺がどんなオズワルドの弱みを握っているか…」


ダリウスはパンを口に放りこむとアリアドネをじっと見つめた。


「ランベールを殺害したのはオズワルドだ。俺はその現場を目撃したんだよ」


「!!」


アリアドネはその言葉に目を見張った――。




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