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10-3 隠していた事実

 アリアドネがダリウスに拉致された同時刻―



「それで?俺に話とは一体何だ?」


執務室のソファに座ったエルウィンは膝と腕を組み、正面に座ったオズワルドに尋ねた。


「いえ、城主のエルウィン様を差し置いて私から先に話すなど、おこがましいことです。どうぞ先にお話し下さい」


オズワルドの言葉にエルウィンは頷いた。


「そうか、なら担当直入に聞く。お前とダリウスは知り合いなのか?領民達の間でお前達が一緒にいる姿を見たと言う目撃証言があるのだが?」


「はて…?ダリウス?誰のことですか?」


首を傾げるオズワルドにエルウィンは苛立ちを隠せない。


「ふざけているのか?ダリウスはここの領地の領民だ。年の頃は恐らく20代前半。少し浅黒い肌に茶髪に黒目の男だ。背丈は…そうだな。俺と同じ位だ」


エルウィンは自分が覚えている限りのダリウスの外見を説明した。


「ほう…エルウィン様と同じ位の背丈…ですか?ならかなり背は高い男ですな。ふむ…ならあの男のことですかな…そう言えば、そんな名前の若者だった気がします」


オズワルドは顎に手をやり、首をひねった。


「しらじらしい真似をするな。お前がただの領民を相手にするとは思えないからな。大体お前は叔父上同様、平民たちを常日頃から見下していたではないか」


「それは馴れ合いはよくないからです。城主ともあろう方は威厳を常に保っていないと…大体普段からエルウィン様は領民達との距離が近すぎます。それですから我らは他の王侯貴族や周辺諸国から野蛮な人種として見下されてしまうのですよ?」


「何だとっ!貴様…俺を愚弄する気かっ?!」



エルウィンがオズワルドに会話で翻弄されている様子をシュミットはハラハラしながら見守っていた。


(もう…これ以上黙ってみていられないっ!)


ついにシュミットは口を開いた。


「いい加減にしてください、オズワルド様。そもそも会話の論点がずれているではありませんか」



その時―



コンコンコンコンッ!


激しく扉をノックする音が執務室に響き渡った。


「誰だっ?!今、大事な話し中だっ!」


エルウィンは扉に向かって怒鳴りつけた。


『俺ですっ!スティーブですっ!緊急事態です!』


扉越しにスティーブの切羽詰まった声が聞こえた。


「緊急事態?入れっ!」


エルウィンは立ち上がった。


「失礼しますっ!」


乱暴に扉を開けて、室内に飛び込んできたスティーブの髪は乱れていた。


「た、大将…」


スティーブは呼吸を整えながらエルウィンを見た。


「緊急事態とは一体何だ?」


「は、はい…リアが…リアがいなくなりました!」


「いなくなった…?どういうことだ?」


「ええ。リアはミカエル様とウリエル様のシーツ交換をする為に部屋を出たそうですが…なかなか戻って来ないので、ロイが様子を見に行ったところ、廊下に替えの交換用のシーツと被っていたキャップが落ちていたそうです!周辺を探しても姿がみあたりませんっ!」


「何だってっ?!すぐに人を集めて探し出せっ」


「はいっ!」


「私も行きますっ!」


スティーブとシュミットは返事をすると部屋を飛び出して行った。



「おやおや…これは大変なことになりましたな…」


一方、呑気に構えているのはオズワルドであった。


「貴様…!さては何かしたなっ?!」


エルウィンは憎しみを込めた目でオズワルドを睨みつけた。


「何を仰っているのです?ここにいる私に一体何が出来ると言うのですか?」


「お前が何かしでかしたせいでアリアドネが消えてしまったのではないのかっ?!」


エルウィンの言葉にオズワルドが眉を動かした。


「ほう…今、何と仰いましたか?私の耳にはアリアドネと聞こえましたが?」


「……」


しかし、エルウィンは答えない。


「やはり…あの娘の正体に気付いておられたのですね?」


オズワルドが立ち上がり、エルウィンを見た。


「…当然だ。そんなこと位…最初から気付いていた」


エルウィンはオズワルドを睨みつけたまま返事をする。


「なら何故今まで気付かないフリを?わざと距離を開けていたのですか?それは貴方の落ち度ではありませんか?エルウィン様」


「煩い…お前に説明する必要は無い!今すぐ出ていけ!」


エルウィンは扉を指さし、オズワルドに怒鳴りつけた。


「ええ。言われなくとも出ていきます。失礼致しました」


オズワルドは立ち上がると、足早に執務室を出て行った。




「…くっ!」


エルウィンは壁に掛けてある剣を掴むと、執務室を飛び出した。


アリアドネを探す為に―。



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