生ヲ望ム者
私はもうすぐ死ぬ。
医者に15歳まで生きられないと言われた。
両親は泣いていた。
もうすぐ死ぬという実感が湧かないまま14歳の誕生日を迎えた。
言われてみれば倒れる頻度が増えたし、痛みも酷くなってきていた。
これが死に近付いているということかと思った。
死ぬのは怖い。でも受け入れるしかない。
そう思って私は願掛けしたんだ。
悪魔に。
病院を抜け出してたまたま立ち寄った図書館にいかにも怪しげな本があった。
そのまま私は借りて来てしまった。
病院に戻ると看護師に怒られながらベットに戻って少し寝てあんまり美味しくない夜ごはんを食べて点滴を変えたら就寝時間だ。
もちろん寝ない。
そして借りてきた本を開く。
悪魔の召喚方法
- 注意点 -
必ず一人きりで行うこと。
必ず手順通りに行うこと。
必ず約束を守ること。
命の保証はしません。
なにこれ、ほんといかにもって感じ。命の保証はしませんって私は別に1年くらい縮んだって気にしない。
次のページをめくる。
手順
午前2時にグラスの水を飲み干す。
飲み干したグラスに血を1滴落とす。
そのグラスをこの本の上に置いて願え。
「思ったより簡単そうね」
グラスに水を用意してこようと、グラスに手を伸ばしたらキラリとグラスが輝いたような気がした。
そしたらコポコポとグラスの底から水が出てきた。
「用意してくれるなんてありがたいわね」
午前2時になった瞬間、私は一気に飲み干した。
そしてそのグラスに指を切って血を落とし、それを本の上に置いて願った。生きたいと。
いつの間にか本もグラスも消え、目の前に褐色の肌、短髪の銀の髪、エメラルドのような緑色の目、黒いチャイナ服を着た美しい男が現れた。男は微笑みながらこう言った。
「久しぶりに人間界にきました」
「さぁあなたの願いを叶えてあげましょう」
私はただ一言「生きたい」と言った。
「その願い、聞き届けました。」