予告編
「滝宗也君だね?」
「はい__」
突如目の前に現れた男の問いに、宗也は素直に答えた。
「滝和也さんの甥御さんの、滝宗也君__」
「叔父の知り合いの方ですか?」
自分の素性にやけに詳しいこの人物に、宗也も不信の念がぬぐい去れない。
最初は、組織から__グローリーウィナーズの関係者かと思ったが、どうも違うようだ。
「FBI関係の?」
FBI__言うまでも無く、エドガー・フーバーが創立した、全米連邦捜査局の事である。宗也の答えは、普通の人間の感覚からすればかなり荒唐無稽で突拍子も無いと言えるかもしれない。しかし、彼の叔父である滝和也はかつてFBIの秘密捜査官であった。
「いや__」
男は、妙にゆとりに満ちた、何か秘密を隠しているかのような笑みを浮かべると軽く顔を振った。
「自分はFBIではないが__滝さんには、いくらか世話になった者だ」
もしかしたら、うっかりFBIなどと言う言葉を発してしまった事が軽率であったかと宗也は後悔した。しかし、如何に叔父の知り合いとはいえ見も知らぬ人物がいきなり自分の名を口にして呼びかけてきたのだ。少なくとも、普通の一般市民ではないと思うのが通常である。
「自分の学生時代の先輩が、滝さんとは友人でね。その縁から色々と厄介になったんだ」
「そうでしたか」
宗也も一応納得した。と言うより、多少疑問はあるにせよ、ここは相手の言う通りに答えるしか為すべき事は無いのだ。
「あのう、失礼ですが、もし差し支えなければお名前を……」
「ああ、そうだった」
男が笑いながら答えた。
「人に声を掛けておきながら名を名乗らぬとは、些か礼を失したかね」
「いえ__」
男の、何か妙に含みの有る笑顔に接しながら、宗也は促されるままに答えた。
「自分は、風見と言うものだが」
「風見さん__」
その名を耳にして、宗也が少し何かを考える様な表情を見せた。
「……風見……もしかして」
宗也の態度に、風見と名乗った男も妙に満足げに頷いた。
「もしかして、風見志郎さん?」
長らく放置していたこの作品、まだ本格的に続きをかく段階ではないのですが、一応予告編だけでもと思いまして。
仮面ライダーファンの方、石ノ森プロの皆様、どうかお見逃しをw