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トムの言葉

作者: @hhh0101


ぼく、トム…。






ぼくはいつも寝ています。

とても気持ちいいです。

このまま、ずっと寝ていたいです…。










昼は、誰もいないけれど

それはそれで、ぼくの天国です。



ぼく一人だから

みんなは、ぼくの昼の世界知らないでしょう?



寝ています…。









朝はね、みんなが起きてくるのが遅くて

でも、ぼくが起きるとみんな迷惑だろうから

みんなの目覚ましが鳴るころにみはからって起きてます。







いえ。うそです!みんなの目覚ましで一緒に起きています。

でも朝のひかり、はね。浴びると、なんかその日がちがうね!

チカラがみなぎる! そんなかんじ。

とてもふしぎとおもう…。みんなそうなのかなぁ…。

























最近は、ボケたのかな。

夜中にお腹すいてしまってないてしまいます。

それでママにおこられてしまいます。








朝は、パパが会社に出かけるときは玄関の近くで

パパを眺めています、一応。気が向けばだけどね…。

(パパの顔は見ないしね)







ぼくは、しゃべれないけれど、みんなが思うことは

わかるんです。ホント、これはね、とても自信あるよ!1000%!

ぼくの特技かも?


みんなが悲しいときはぼくも悲しいし

みんなが楽しいときは、ぼくも楽しくてうれしいです!










ママが何日もおうちにいないときはあせった…。

ごはんも毎日おなじものを食べないといけなかったし…。




でもパパが帰ってきた!

パパも??ごはんくれうぅ!

パパが??トイレそうじしてくれるうぅ!

その時は、パパが急に親しく思えた。

パパはいつものように無言だったけど…。










ぼくがおうちに引き取られたときのこと。今でもおぼえているよ。


ママとパパが迎えに来てくれた。

ぼくの兄弟はとても元気でぼくより先にママ、パパに会いに行ったよね。

玄関でじっと、みんなのことをみつめているとき

ようやく、ぼくはみんなに合流できたんだ。

みんなのうしろでママとパパを見つめてた。


あんまし、急に動けないし、みんなといっしょに動くのも気がひけていたんだ。

いつもお食事は、ぼくがいちばん最後、みんなが食べたあとだったし。

どうせ、元気なみんなが先にもらわれていくんだろうな、とわかっていたから…。




パパのジーンズに、がじがじ、のぼろうとしていたぼくのにいちゃん。

パパの顔は笑っていたね…。





そして、ずっとうしろにいたぼくを見つけてくれたね。

そしてママと何かお話ししてた。


ぼくが住んでたおうちの人は少し悲しそうな顔してた。




それからぼくは、ママとパパに連れられて車に乗ったんだ。

途中で、スーパーで止まったね。なにか買い物したの?


そしてぼくは、これからどこへいくんだろう?

どこかわからないけれど、ぼくはとてもワクワクしてたよ!

広いおうちだったらいいのになー!




ぼくのなまえが決まった。トムだ。


新しいおうちには、すでにジェリーという名のデブのハムスターもいたよ。














子供のころ、パパによく殴られた。

パパがとてもこわかった。

床を引きずり回されたこともあった。

掃除機の真似されておどされて、とてもこわかった。

だから、たぶん、そのせいでぼくはアタマ少し悪くなったと思う。

あんなにたたかなくてもよかったのに…。

きっと、ぼくが掃除機がダメなのはそのときからだ…。






でも、そのおかげなのか、ぼくはトイレはすぐに覚えた。

覚えとかないと、また引きずり回されるから。

覚えておいてほんとよかったと思う。

けど、今ではもう歳なのか、ときどき、ちびってしまうけど…。




みんな!、ちびるの笑うな!

だって、歳とともにそうなるんだもん…。

うんちが近い。









つめをとぐのがぼくの仕事のひとつだけれど

パパは、それが好きではなかったみたいだ。

だからカベに張られたじゅうたんで控え目に少しといでた。

つめとぎ板も昔に買ってもらったけれどやりかたがよくわからずじまいで。

教えてもらったんだけれど。

これは、ごめんなさい…。





いつのことかずいぶん前だと思う。

3日くらい、家の外で生活したことがある、あまりおぼえていないのだけれど。

迷子になったんだ。学校にりさを迎えに行くじいちゃんの車から飛び出してしまった。

じいちゃんは、ぼくがブレーキの下にいたからブレーキを踏まずに事故してしまった。

ぼくを踏んづけてくれてもよかったのに、と思う…。事故よりもぼくのからだを優先してくれた…。

あの時、ぼくをりさに会わせたくて車に載せてってくれたんだ。

ごめんね、じいちゃん…。






外に飛び出してから…、

パパやママやみんなが何度も呼びに来てくれてたけどもう少し外で遊んでいたかった。

近くの夫婦がママに電話してからママが迎えに来てくれた。

これは、とてもうれしかった!

なにも食べていなくてきれいなお水ものんでなかったし…。






ママたちがぼくの捜索チラシを近所のおうちに配ってくれていたのも知っているよ。

パパがしきりに配っていてくれたことも、ママが作ってくれてたチラシを…。

ママやパパが、さんま、を焼いてくれて草むらに置いてくれてたことも…。












あと…。

実は、パパとはあまり遊んだ記憶がなくて。

いつもおうちで遊んでくれたのは、ほとんどママ。




だから、ママのにおいが大好き。

髪の毛のにおいが好きでぼくも全身こういう匂いになれたらな、とおもってた。

いつもママのあたまに突っ込んでにおいをかいで、んで、おこられてた。

でもいつか、ぼくもきっと、そうなれるとおもってたんだ。
















りさやりゅうがTOKYOというところに行ってから

ずいぶんとおうちも淋しくなった。

TOKYO、っていいところなのかな?

あんまりおうちに帰ってこなくなった。








ぼくは外の世界には、あまり、というかほとんど出たことがなかった。

興味はとてもあったけど、すこし、いやとても怖かった。

けれど玄関のまわりを少し歩くだけでも世界観が変わったよ。






ぼくは、おうちの中が大好きだけど、外は、空気やにおいがぜんぜんちがうんだね。

きっとTOKYOもそうなのかな…。







こないだ、実はね、パパがぼくを外に少し出してくれたんだ…。

なんでだろうね。その時、ずっと玄関から見守ってくれてた。

けど、半径10メートル以内!

ぼくは、怖くてそれ以上はいけなかったので…。

もっと行けば良かったな!今思えば。








りさ、りゅうがいなくなって

みんなをいじめることもできなくなった。

りゅうをガジガジしたり、ケンカしたり、トイレ、お風呂襲撃もできなくなった。

りさが寝ているおふとんへのもぐりこみ作戦もできなくなった。













ほんとは、お昼に誰もいないのは、結構さびしかった。

でも寝てると、あっと言うまにすぐに夕方になっていたので

あまり気にはならないよ、うん。







夜にママやパパが帰ってくると、やっぱりうれしい!

しばらくは、みんなの足にまとわりついてしまう、だって猫なので。

でも最近は、パパやママの帰り遅いとき、ぼくは、おむかえ出来なくなってきた…。

なんでだろう。

でも、さぼってる、わけではないよ!











それと、

パパのだっこはうれしいけれどたばこのにおいがくさくてとてもいやだ。

あとで毛繕いをするのがたいへんだから、パパのだっこチューは正直やめてほしい。

それと、ぎゅーしながらチュー、もいつか骨が折れると思うので怖いからやめてほしい。






ぼくも年を取ってずいぶん痩せてきたけれど

毛のかたまりは、やっぱり取ってほしい。

自分で取るの、もう限界っぽいかも…。






(ここから少しパパの声。

こないだ、パパがぼくをだっこ中、つぶやいてたのを聞いたんだ…。)













トム、今までいろいろすまんかったな。




ずっとお外に出さずにおうちの中で過ごさせて。

(それは、全然ダイジョウブ!)





小さいとき、アタマ、たたいてごめんな。

(それは、正直やめてほしかった)





ひきずりまわしてごめんな。

(これも正直堪忍してほしかった)





掃除機で脅かしてごめんな。

(これは絶対、やめてほしかった)





すまんことしたと思う。

毛が長いのに、ブラシこまめにしてあげなくてごめんな。

(今からでも遅くないと思うけど…)





いっぱい、謝ることあるけれど

トムは、怒らないね。怒っているのかもしれないけれど。

(わりと、怒ってる、でもすぐ忘れてあげる…)





いつものように朝は、パパを見ているね。

パパが帰ってきたら頑張って、ニャァ、おかえり、と言うね。、ありがとう…。

(気づいたらそうしてるので…、自分でもよくわからないよ)















こないだね、ちょー、しんどい目にあったよ。

うんち、が出なくて…。



もう、うんちがでないと食べる気もおこらないし

動けない、2階にもあがれない…。

そして、ニャァ、も言えない…。

たぶんもう、このままなのかな、と思った…。





そしたら、ママとパパが病院へ連れて行ってくれた。

注射と点滴、それにお医者さんがつまっているうんちを

取り出してくれた!おーーー!




一気に空が明るくなった!






これでぼくは、また元気になった。

ママは、鳴きすぎ!と怒る位に声も出るようになった。





いつものソファの寝床にもジャンプできるようになった。







ぼくは、もう16才、人間でいうと80才だ。

家族の中でいちばんの年長者だぞ! みんなリスペクトしなさい!










あー、でもね、毛づくろいするのもつかれてきた…。

つめをとぐのもしんどくなってきた…。


パパがんばってブラッシングしてね、おねがいします。







こないだ、バテてたとき、おひるもクーラーいれてくれてありがとう!

すずしかったよん!

(でも少し元気になるともとどおり暑かったよー、クーラー切られちゃった)


















そうそう、こないだ、抱っこしながらぼくの目をみて話をしてくれたね、パパ。







今まで、どうだった?いろいろあったけど幸せ?

ウチに来て良かった?おいしい食事できた?

たくさん寝れた?たくさん遊べた?たくさん抱っこしてもらった?

たくさん楽しいことあった?…。



トムは幸せだった?…。













ぼくは、パパに言ったよ、一言、ニャァ、って。

それは…、









いつもたのしいよ。

いつもたのしかったよ。




いつもおいしいよ。

いつもとてもおいしかったよ。




いつもたのしいよ。

いつもとてもたのしかったよ。




いつもとてもとてもうれしかったよ。





だから、みんな、みんな…。

とても、とてもありがとう……。














ね、パパ。ぼくの声聞こえた?…。





















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