表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第8巻 深緑の妖精庭園

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

471/2419

掘り出し物Ⅱ

 一方、その頃のサクラたちは、別の部屋で石探しを行っていた。

 ユーキたちが探している部屋と違い、瓦礫の散乱具合はかなりのものだ。窓際に置かれていたベッドは粉砕され、近くにあったクローゼットは中身も含めて地面へと散らばっている。

 部屋の主人は男性だったのか、男物の服が多い。生地も少しばかり上等なものが多く、かなりの損失に持ち主は心を痛めるなんてレベルでは済んでいないだろう。

 昨日の働きぶりもあってか、サクラたちを指導していた老騎士たちもこの部屋にはおらず、隣の部屋で作業をしている。その為、昨日とは違って作業中に思わず話してしまうのは、女三人寄れば姦しいという諺の所以だろうか。


「あのー、サクラさん」

「何? フランさん」

「まだ、今朝のこと怒ってるんですか?」


 その言葉に瓦礫を纏めていたサクラの手が急に止まった。

 しばらく、屈んだ姿勢のまま動かないでいると、アイリスも心配したのか動きを止めてサクラを見る。


「……怒って、ないよ」

「でも、ユーキさんとここに来るまで全然話さないから……」


 伯爵邸からここに来るまでの間、フランは何とか重い空気を払拭しようと、明るくみんなに話し掛けていた。アイリスは元々口数が多い方ではないため、必然的にフランはユーキとサクラに何度も話し掛けることになる。

 だが、あくまでフランとユーキ、フランとサクラという会話のラインしか作れず、本命のユーキとサクラの間には一言も会話がなかった。

 フランも何度か二人の顔を見たが、サクラは前を向いたままで、ユーキは首を横に振るばかりだったので、どうすることもできなかった。


「サクラさん。確かに……そのお風呂で見られたことはショックだったかもしれませんが、ユーキさんに非があるわけではないのは、わかってもらえますよね」

「――――違う」


 そこで唐突にアイリスがフランの後ろから声をかけた。


「違う? アイリスさんも言ってたじゃないですか、確認するのを怠ったって」

「そうじゃない。サクラは、本当に怒って、ない」

「え?」


 不思議に思っているフランの横を通り過ぎて、アイリスはサクラの横まで来て屈む。

 サクラが顔を向けると、ちょうどアイリスの綺麗な瞳が自分を映し出していた。


「な、なに?」


 思わず表情が固まるサクラにアイリスは無言で返す。

 数秒ほどの見つめ合いの後に、アイリスは静かにサクラへと疑問を投げかける。


「――――サクラ、お風呂にいた時、ユーキの体をずっと見てた?」

「「――――なっ!?」」


 サクラとフランの声が重なる。

 アイリスの言葉にサクラの顔が熟したリンゴのように真っ赤に染まっていく。


「な、なななな、何を言ってるのかな!?」

「だって、サクラ。ユーキがお風呂から出てきた後も、ずっとユーキの体を見てたから」

「そ、それは……」


 サクラの脳裏には、以前、ユーキが倒れた時に魔力を注ぎ込んだことを思い出していた。

 最初は手から流し込んでいたが、それすらもなかなか上手くいかず、最後は全身を使って注ぎ込むという荒業だった。

 その抱き着いた時の感触と今朝のユーキのちょうどよく締まった体が結びついてしまい、更に顔が赤くなる。


「じゃ、じゃあ、サクラさんがずっと黙っていたのは、怒っているからじゃなくて……」

「うん。恥ずかしいのを誤魔化そうとしてただけ」

「ち、違うもん。そんなんじゃないもん」


 若干、涙目になりながらサクラは必死に首を振って否定する。

 このまま認めてしまえば、自分の中の大切な何かが崩れてしまいそうだからだ。

 口をパクパクさせて、何か反論をしようとしていた時、サクラの背後から足音が聞こえた。


「あのー。サクラさん? 申し訳ないんだけど、埋まっちゃった石をとって――――」

「ぴゃあああああああああ!?」

「何でっ!?」


 ユーキが申し訳なさそうに顔を出した瞬間、サクラの奇声と共に圧縮された風がユーキの顔に直撃した。

【読者の皆様へのお願い】

・この作品が少しでも面白いと思った。

・続きが気になる!

・気に入った

 以上のような感想をもっていただけたら、

 後書きの下側にある〔☆☆☆☆☆〕を押して、評価をしていただけると作者が喜びます。

 また、ブックマークの登録をしていただけると、次回からは既読部分に自動的に栞が挿入されて読み進めやすくなります。

 今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ