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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第8巻 深緑の妖精庭園

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安堵と休息Ⅲ

「それで? 結局俺たちは明日も石拾いして頑張りましょうって認識でいいんだよな?」

「その通り。マリーは特訓。その間にあたしたちは石拾いと破損個所を確認する。後の大きな動きは偉い大人が勝手にやってくれるから気にしない。だから、その後のことを話しておこうかと思ってね」

「「「「その後……?」」」」


 全員が首を傾げるとクレアはニヤリと笑みを浮かべた。


「さっき父さんに聞いたんだよね。結局、あたしたちはこの後どうなるのかってね。結論を言うと王都に戻ることになると思う。今すぐってわけじゃないけどさ」

「じゃあ、王都に戻ったら何しよう。まだ、魔法学園も授業していないよね?」


 不安そうにサクラが呟くとクレアは大きく二度頷いた。何やら考えがあるらしい。


「そこで、だ。王都に戻りがてら、ちょっと寄り道したいと思ってるところがあってさ。それをみんなで話したいと思って集まってもらったんだ」


 クレアは部屋に元々置かれていた本棚の中から一つの本を取り出すと、テーブルの上に開いて見せた。

 本ではあったが書いてあるのは文字ではなく、絵のようにも見えた。


「これは……地図?」

「そう、その通り。まぁ、詳細なものだと敵に渡った時に面倒だからスゴイ簡略化してあるんだけど」


 そう言いながら、ある一点を指差す。

 そこには小さな丸が書かれており、その脇に授業で習った火と水を表す三角形のマークが添えられていた。


「西門を抜けた先にあるところだと……この前シャドウウルフを狩ってたところ?」

「サクラ、多分、これはもっと先だと思う。もっと遠いところ、かも」


 アイリスは親指と人差し指でつまむような形を作って、街からの距離を概算で測っていた。


「……前の所よりも二、三倍離れてる?」

「正解! 流石、アイリス」

「一応、何度か来てるからわかるだけ」


 そういうとアイリスの隣でフランは不思議そうに本を覗き込んだ。

 その眼は本の至る所に書かれた何かを表しているシンボルマークへと引き寄せられている。


「このマークは何でしょうか? 何かを表していると思うんですけど……」

「うーん。水? 火? でも村に水はあっても火があったら危ないだろうし……」


 サクラとフランが悩む横でマリーはいつの間に回り込んだのか、アイリスの口を押えていた。


「マリー、何で抑えるの?」

「いや、だってお前、答え言っちゃいそうなんだもん。ここは大人しく、二人が答えを考えるのを見守ろうぜ」


 クレアもマリーと同じ意見らしく、アイリスが助けを求めるような顔で見てきたが華麗にスルーを決めた。フェイは特にいうこともないのか、話をしている二人を見つめているだけだ。


「ユーキ。お前も考えてみろよ。この本の記号の謎、わかるかな?」


 ユーキはマリーの挑発するかのようなセリフに乗ることにした。節々が痛む体を持ちあげて、両手を腰に当てながら、悩む二人の後ろから覗き込む。


「(村には水と火のマーク、って言ってるけど三角形のマークだよな……上向きと下向きの。村からかなり離れた山には下向き三角形のど真ん中に横の一本線。その隣には菱形のマーク。更に進むと斜め三本線と上向き三角形。そして骸骨マークか)」


 ミミズがのたうち回ったような外形の線の中で唯一ハッキリとマークだけは読み取ることができた。

 ユーキはサクラたちの言葉にも耳を傾けてみる。


「この前、ワイバーンが飛んでった方角もこっちだから……」

「でも、山の中に火なんてあるのかな?」


 二人はちょうど、ユーキが見ていた山の印を見て首を捻っている。


「(上向き三角形が火で下向き三角形は水か。そうなると村の中の水と火……か)」


 ユーキはクレアの顔をチラリと盗み見る。

 クレアは王都に戻る途中で寄り道したい、と言っていた。そうなると、ここに寄るのは必須ではない。そう考えるとこの村にある何かを持って帰るか、体験していくかということが予想できる。

 火と水から想像できる特産物というのは、概念が広すぎて想像できなかったが、体験するということに限れば、ユーキは一つだけ思い当たることがあった。

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