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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第7巻 黒白、地に満ちる鬨

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三合火局の陣Ⅲ

 街の一部に手を伸ばすように地面から白い光が伸びている。砂時計が逆流しているような不思議な光景だった。そんな場所が、一つ二つと数えて行くと見える範囲だけで何十カ所も見える。

 そして、その辿った先は地面を貫通して奥底まであるように見えた。


「(地面の……底に何かある?)」


 街の建物から見える光を意識しないようにしていくと、やがて逆流する光の大本だけが強く見えるようになってくる。

 数秒もするとユーキの視界には、地下水脈を透視しているような光景が広がっていた。

 呆気に取られていると、赤い光がポツリポツリと移動しているのが見える。やがて上昇する流れに巻き込まれて地表へと辿り着くと急にそれが膨らんで、黄色味がかった光に変わり、()()()()()()()


「はぁ!?」


 思わず声が出たユーキは、その赤い点が来た方向を辿る。北から伯爵邸を通過する大河とは別。それに合流するように北西側から別の白色の流れが細く存在し、十秒に一度の割合で赤い光が流れてきている。

 もう一度、それを追っていくと、今度は別の場所から上昇し、同じように狼の形をとった。


「あの……あっちの方向って、何がある?」

「あっちは……逃げ帰ってきた城門だぜ?」

「いや、もっと、その先。俺たちが逃げてきた時の方角」

「シャドウウルフが来た方向だと、あっちにあるのはダンジョンくらいだぜ?」


 マリーの言葉にユーキの心臓の鼓動がだんだんと早くなっていく。


「なぁ、マリー。ダンジョンって言うのは自然にできる場合があるんだよな?」

「え? あぁ、そうだけど……」

「もしかして、それって地脈の上にできやすいとか、マナの濃い場所にできやすいとかって法則はあったりするのか?」


 ユーキの問いに困り、マリーはビクトリアへと顔を向ける。

 その問いが聞こえていたのか、ビクトリアは目を見開いたままのユーキの背に答えを返した。


「そうね。かつて地脈を見つけて街を作った時の魔法使いが残した記録に、そのようなことが書いてありました。マナが濃いところにできやすいのだから、当然、マナの奔流である地脈も当然でしょう」


 その言葉にユーキは自身の予想が当たるのではないかという恐怖で足が震え始めていた。

 赤い光を追う中で、次第に白色の光を吸い取っている場所が少しずつ広がっているのが見える。


「もし、俺の予想が外れていたらすいません」

「構わない。どんな予想でも、問題を撃破するきっかけになることがある。君の考えを教えてくれ」


 伯爵の言葉にユーキは深呼吸をする。一度、目を閉じて魔眼から普通の視界へと戻るとサクラに向き合った。


「サクラ、確認したいことがある。さっき言っていた三合火局には、どんな意味があるんだ?」

「えっと、人に当てはめると名誉や地位の獲得。学びから実践へ。後は()()()()()()()()()()への変遷を表す、とかかな」


 ユーキは手を握りしめた。あまりにも聞きたくない情報が聞こえてしまったからだ。

 サクラが言ったことはユーキが見ていた光景を、そのまま表していた。


「伯爵。このまま放っておくと、()()()()()()()()()()()()と思います」

「――――そんな、バカな」


 絶句した伯爵だったが、すぐに我に返る。

 逆にビクトリアは表情こそ焦っているものの、どこか余裕そうな雰囲気だ。


「俺の魔眼で確認しましたが、ダンジョンのある方角から僅かにですが、地脈が繋がり始めています。もしかすると街中で見かけたシャドウウルフは、ダンジョンとしての機能で生み出された魔物なのかもしれません」

「そうなると倒しても倒してもキリがないぞ」


 伯爵が手を頭に当てて、掻きむしる。

 それもそうだろう、無限湧きし続ける魔物と戦いながら、大軍を相手にするほどこの街に余裕はない。今でこそ優勢だが、街のダンジョン化が進めば間に合わなくなる。

 だからこそユーキは、無茶苦茶なことを口にした。

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