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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第6巻 蒼天に羽ばたく翡翠の在処

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火を避けて水に陥るⅣ

 最後にマリーやアイリス、そしてサクラの方へとユーキは視線を向けた。


「すまない。本来なら三人まで巻き込んじゃいけないはずだった。でも、そうでもしないとアイツを止められないんだ」

「何言ってんだ。ここまで来たらとことんやるまでだぜ」

「そうだよ。私たちは仲間なんだから遠慮しないで」


 二人の言葉にユーキは一度目を瞑る。次に目を開けたときにはユーキも覚悟が決まった。


「わかった。それじゃあ、魔力の続く限り魔法を使いまくる。ポーションを飲んで全員配置について!」


 ユーキの合図で全員が一斉に散らばる。

 一カ所にいて一網打尽にされることを防ぐのが目的だが、もう一つは配置が偏ると肝心の罠が見破られる可能性があるからだ。

 そして、何よりこちらの()()()を悟られるわけにはいかない。


「よし、奴がこっちに向かってくるぞっ!」


 村の炎を抜け出し、一息つく間もなくバジリスクは炎燃え盛る小麦畑を抜け出そうとスピードを上げる。村人の家だけでなく、生活を支えるための収穫前の小麦すらもバジリスクを追い詰めるためにと容赦なく燃え上がらせていく。

 バジリスクは皮膚を焼く熱から逃げようとするが、その体は何故か森で獲物を追う時よりもはるかに遅くなっていた。

 それでもその巨体からすれば大農園とはいえ、逃げるのにそこまでの時間はかからない。すぐにいずこかへと消え去るだろうと思われた巨体は、不思議なことに逃げ道は他にもあるのにも関わらず、ユーキたちが待ち構えている場所まで一直線に向かって来ていた。


「(炎と言う名の闇に包まれた中で、わずかな光を見つければ追いかけたくなるよな。そう、特に冷たい水なんかあれば飛び込みたくなるのは誰でも一緒だ!)」


 ユーキたちの待ち構えている場所から畑、いや家畜たちが山積みにされていたところまで、バケツで軽く巻いた程度の水が途切れることなく続いていた。

 まるで、ここを通っていけば炎から逃れることができるのだと教えるように。


「(この村は小麦だけじゃなく様々な食べ物を栽培している。おまけに干ばつに備えて、小さなため池まで用意してあるんだ。これを使わない手はない)」


 あと数秒で畑も抜けて、こちらに向かってくるだろうという頃に、小さな風切り音が一度だけ響く。数秒遅れて、畑の中でバジリスクが悲鳴を上げながら毛糸玉のように丸くなってのたうち回った。


「左目を潰した。でも次は警戒して避けられる」


 そういうとレナは目の周りに巻いていた布を外しながら駆け寄ってきた。そんな彼女の弓を持つ左手は右手で抑えているにも拘わらず微かに震えている。


「その手、どうしたんだ?」

「一瞬だけ奴に見られた。目を合わせても危険だけど、あの魔眼は恐らく視界に入るだけでも効果がある。視界に入らないように、みんな注意して」

「レナ。もういい、下がるんだ」


 近くまで走ってきたマックスがレナを抱えて、後ろへと下がらせる。その間にバジリスクは姿勢を元に戻し、ぎこちない動きでユーキたちのいるところへと向かってくる。痛みをこらえてでも炎から逃げようというのだろう。

 瞳のど真ん中に矢が刺さったまま、バジリスクは前へと進み続ける。幸運にも傷ついた左目からは体液が漏れ出る様子はないようだ。

 矢を放った敵を警戒こそしているものの、バジリスクはユーキたちの隠れる場所には目もくれず、遂にその目的の場所へと辿り着いた。


 ――――ザバアアアアアアッ!! 


 皮膚を焦がす炎から逃げ切り、その身をため池へと躍らせる。

 しかし、バジリスクは気付かなかった。いくら大農村とはいえ、自らの身が完全に入るほどのため池が存在するのはおかしい、と。

 異変はすぐに訪れる。バジリスクを包む水が突如体に張り付き始めた。最初に飛び込んだ頭から順に、胴や尾までをすっぽりと包み込む。

 慌てて体を動かすと小気味よく甲高い罅割れる音が皮膚を通して伝わっていく。流石に異変を感じたバジリスクは体を浮上させるが、頭を水面から出した瞬間、大きな衝撃が走り、その身を再び水の中へと投じることとなった。

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