表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第5巻 暗黒の淵にて、明星を待つ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/2419

進撃Ⅴ

 会敵することなく、緩やかなカーブの道に沿っていくと、小さい広場のような場所に出た。朝などに来れば、市場でもやっていそうな程度には開けているが、そこでも敵の姿は見えなかった。


「いくらなんでも、ここまで敵と会わないのは出来過ぎてないか?」

「そうだな。嫌な予感で済めばいいんだけど」


 建物の壁に沿って広場を覗き込むが、人影も争った跡すらも見えない。ユーキの魔眼で見ても、何一つおかしなところはなかった。


「あのデカい建物もすぐ近くだし、一気に行ってもいいのでは?」


 後ろからケヴィンが提案すると、フェイも当初の早さ優先と言った自分の言葉を思い出したのか、ユーキに目配せする。

 互いに頷くと広場へとフェイが飛び出して行く。遅れないようにユーキたちも続いて出ると、目標としている建築物が、想像よりもはるかに大きいことに驚かされる。


「(俺が昔見たことあるやつよりも、二回りほどデカいぞ!?)」


 もしかすると、あの建築物もダンジョンなのかもしれないという錯覚に陥る。まるでダンジョンを目指すためにダンジョンを潜っている気分だ。思わず視線が上寄りになっていたユーキは、フェイの声に我に返る。


「次の道を左に行けば目的地だ。油断するなよ……!?」


 二つの道が交差するところへ、更にユーキたちが来た道が斜めに交わる。フェイが警戒して速度を落とした瞬間、後ろからカラコロと乾いた音が鳴り響いた。


「が、骸骨!? し、しかも武装してる!?」


 一番後ろにいたケヴィンが悲鳴を上げる。その様子にアイリスはジト目をする。


「あなた、装備がメイスなら、神官とかを目指してるはず。むしろ、得意な敵」

「死者が動くなんてありえません。そんな敵の対処法は無理ですー」


 口調も変わって慌てるケヴィンの横に、マリーの杖が突き出される。


「フェイ。やっちゃっていいよね」

「いや、先に進もう! ()()()()()()どんどん出現し始めた」


 慌ててマリーが後ろを見ると、左右に見える道から今いる場所へと、十数体の骸骨が群れを成して近づいてきていた。


「あの建物の方向からは敵が来ていない。今なら正面突破で逃げた方が行ける!」

「そうだな。ユーキの言う通り、前方に火力を集中。一撃加えた後、一気に突破するぞ。動きが遅いから放った後に走るんだ。僕とユーキは、そこからさらに突破口をこじ開ける!」


 サクラたちの魔法の詠唱が始まる中、フェイはユーキと共に射線を開けて腰を落とす。互いに魔力が体を満たし、身体強化の効果が上がっていく。

 杖が振り下ろされると同時に、ユーキとフェイは走り出した。目の前にいくつもの爆風が巻き起こる。割れた石の破片が飛び散るが、骸骨の群れはまだ健在だった。


「うおおおおっ!」


 フェイが陣形の崩れた場所に向かって飛び込むと、普段の剣とは違って力任せに骸骨を殴り飛ばした。吹き飛んだ骸骨はよろけていた他の骸骨にぶつかり、ドミノのように地面へと倒れていく。

 対してユーキは、振り下ろしてきた片手剣を刀で弾くとそのままショルダータックルで同様に押し出す。フェイほどではないが、巻き込まれた骸骨たちはたたらを踏んで隙ができた。

 二人が広げた道を急いで四人が通り過ぎていく。視界の隅で全員が通ったことを確認すると、ユーキとフェイも後を追うように走り出す。骸骨たちは向きを変えてゆっくりと追いかけてくるが、その緩慢な動きと遠距離攻撃手段を持たないことが故に、何の脅威にもなり得なかった。


「――――マズイな」


 フェイが焦ったようにスピードを上げて、サクラたちに追いつこうとする。ユーキもそれに遅れまいと足の回転を上げて、手を振りぬいていく。


「何が?」

「明らかに、誘われている。こちらにだけわざと敵を配置しないなんて、罠しかありえない。だけど……」


 フェイは悔し気に顔を歪ませる。僅かに悩んだ後、吐き捨てるように言い放った。


「……前に進むしか道はない」

「そうだな」


 押しつぶさんとばかりに眼前に広がる建造物を前に、さらにスピードを上げる。近づいていくと、まるでライオンの口のように入口が大きく開かれ、ユーキたちを歓迎していた。怪しみながらも建物の入り口に駆けこんでいくと、道は左右、そして前方へと三つの方向に広がっている。

 後ろを振り返って安全を確認したユーキはみんなに尋ねた。


「もし、このまま進めば多分、闘技場みたいな開けた場所に出て、攻撃を受ける可能性があるかもしれない。左右のどちらかに進んで、観客席みたいな場所から様子を見るのがいいと思うんだけど、どう思う?」

【読者の皆様へのお願い】

・この作品が少しでも面白いと思った。

・続きが気になる!

・気に入った

 以上のような感想をもっていただけたら、

 後書きの下側にある〔☆☆☆☆☆〕を押して、評価をしていただけると作者が喜びます。

 また、ブックマークの登録をしていただけると、次回からは既読部分に自動的に栞が挿入されて読み進めやすくなります。

 今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ