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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
魔王ならざる巨人と聖剣

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百頭竜Ⅴ

「ふざけんな。口だけぽっかり開いてんじゃねぇよ!」



 ラドンは着地と同時に長く伸びた先にある口で神殿騎士に噛みつこうとするが、それを神殿騎士は盾で弾きながら回避に成功していた。無事に逃れたことに安堵する間もなく、現れた口を見て、勇輝の脳裏にレーザー染みた攻撃が過ぎる。できることは即座に再装填したガンドを連発で放ち、攻撃が放たれる前に潰すことくらいだ。


 スローモーションのように時間が流れていく中で、勇輝は右手を中の形にして構える。息を止めて体を固定すると同時に、五発のガンドを撃ち放った。


 青いガンドの軌跡が赤い光を放つ側面の口へと向かって行く。



 ――間に合うか!?



 歯を食いしばる勇輝の視界に、強烈な赤い光が瞬くのが映った。


 初弾――レーザーを真正面から受け、拮抗。

 次弾――初弾を後押しする様に合流。


 幸い、大きな口から放たれた時ほどの威力はないようで、ガンド二発分で何とか総裁に成功する。


 しかし、続く残りの三発の内、ラドンへ当たったのは一発。しかも、その場所は背中に生えた触手状の頭部を数本抉り取った程度だった。



「――ふう」



 今までとは違うタイプの危機感を感じ、勇輝は息を吐き出す。


 自分だけが狙われているのならば、避ける自信はある。だが、周囲の人物までは守り切れない。良くて、自分が抱えられる距離にいる人物。それも二人が限界だろう。


 勇輝は震える右手を何とか思う通りに動かせるように、握っては開いてを繰り返す。



「これは相手が悪いな。長引かせれば、被害が出かねない。キャロライン、アルト様を頼めるか?」



 勇輝の後ろにいたソフィアが、白い輝きを発しながら横に並ぶ。光が収まるとその手には、バジリスク戦で見た聖剣グラムが握られていた。



「あなたと彼女には援護をお願いしたいです。詠唱のいらない魔法と広範囲攻撃を無効化できる魔法があれば、かなり生存率が上がって――私も自分のことに集中しやすい」



 護衛から討伐へと意識が変わったのか、ソフィアの表情がより一層険しくなった。



「アルト様は怪我人が出た時の為に魔力は温存させておいてください。レベッカ、空を飛ぼうとしたら魔法で目晦ましを」


「わ、わかりましたー!」



 離れていたところで片手を上げてレベッカが反応する。どうにも気の抜ける感じの返事だが、彼女のサポート力は以前見せてもらったことがあるので、十分信頼できる。



「もしも、上手くいかない時にはあなたの剣にも期待しています。何しろ、バジリスクの首を切り落としたのですから」


「あ、あれは、無我夢中でやった結果というか……。身体強化は再現できても、あの斬撃は無理かも……」



 刀身より明らかに長い。或いは太い物体を両断したことは何度かある。ただ、その時は極度の集中状態か、何かしらの理由で切れるという確信があった時だ。少なくとも、勇輝は今できるかと問われたら、難しいと言わざるを得なかった。



「良いんですよ。これは本来私たちの国の問題。それに付き合ってくれただけでも感謝しかありません。それに――」



 ソフィアの限界まで見開いた目を見て、勇輝はラドンとは違う恐ろしさを感じ取った。



「――今まで鍛えて来た力を、存分に振るえる相手が現れてくれたところなので」



 グラムを両手で握ったソフィアの体が沈み込んだ。一秒と無い空白の時間があり、次に勇輝が口を開こうとした時には彼女はラドンへと切りかかっていた。


 およそ五十メートル弱。その距離を一気に駆け抜けたソフィアが振るったグラムは、ラドンの前腕を切り飛ばし、胴体にある口にも大きな傷を負わせる。明るい緑色の血液が噴き出し、観客席の地面へと飛び散った。



「さて、かつての黒騎士隊長が為した邪竜退治。この私もやって見せようか!」



 勇ましく吼えるソフィアに対し、ラドンは体中のあらゆる口から雄たけびを上げた。そして、ありとあらゆる頭部がソフィアに向けられる。

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