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空からの刺客Ⅶ

 十代の魔法使いが放つにはレベルが違う攻撃に、キマイラも動きを止めたかと思われた。


 だが、次の瞬間、フランの火球をものともせずにキマイラが突っ込んでくる。



「うおっ!?」



 あまりの迫力に勇輝は横に転がって、キマイラの進行方向から逃げる。しかし、キマイラは勇輝たちには興味を持たないかのように上空へと舞い上がった。


 どうしてそんなことになっているのか。そんな疑問を抱く間もなく、勇輝はキマイラの向かう先に桜とヴァネッサが飛んでいることに気が付いた。



「あいつ、桜たちを!」



 ガンドで撃とうと構えるが、不運にも桜たちが一直線上に並んでしまっている。勇輝は身体強化でその場から離脱し、キマイラを狙える場所に移動した。


 キマイラの後ろから奇襲できる今がチャンス。そう考えて放ったガンドは、またしてもキマイラに当たることはなかった。



「嘘、だろ!?」



 キマイラの尻尾は蛇になっているのだが、その蛇が口から水弾を放ち、ガンドと相殺して来た。


 どうにもキマイラの獅子の頭部と蛇の頭部は、どちらも超音波的なものでガンドを感知しているらしい。



「それならもう一度、高速でガンドを撃ち放つだけだ――!?」



 籠める魔力を瞬間的に高め、ガンドで穿つ。着弾までには一秒もかからない。しかし、それは勇輝の都合だけを考えた話。キマイラの尾は、ガンドが放たれるまで待ってなどくれなかった。


 降り注ぐ水弾の雨。地面に着弾すれば、小さなクレーターができる威力で爆発四散。飛び散った水も至近距離で受ければ、場合によっては打撲になるくらいの威力がある。


 ヴァネッサのおかげで桜はキマイラから何とか逃げることが出来ているが、やはり他人の飛行魔法に干渉しながら自分自身も飛行するというのは難しいのだろう。


 最速の名を持っているヴァネッサであっても、キマイラとの距離を離せずにいた。



「何で、桜とヴァネッサ先生が追われてるんだ?」


「飛んでるのが原因なんじゃないか? 陸に入る奴よりも先に仕留めようとしているとか。それか猫みたいに動くものが気になるとか」



 マリーの考えは下らないように聞こえるが、否定しきれない自分がいた。


 何とかして地面に降りて来るように伝えたいが、桜を抱えたままのヴァネッサに上手く知らせる方法が思いつかなかった。


 そうしている内に、ヴァネッサが桜を手放した。


 まさか桜を見捨てたのかと、勇輝たちが顔を蒼褪めさせるが、ヴァネッサはその場で反転。何とキマイラに向かって突っ込んでいく。


 当然、逃げていた相手が急に向かってきたら、何事かと驚くだろう。キマイラは急停止し、その口から火の粉を零す。



「危ないっ!」



 火を吐く兆候に思わず勇輝は叫んだ。それでもヴァネッサは正面から避けることなく突っ込んでいく。


 キマイラが口を大きく開いた瞬間、ヴァネッサが箒の柄を思い切り持ち上げて急上昇の姿勢に変化する。そして、箒の尾が地面に対して垂直になった瞬間。その先から拳大の石礫が突如として出現した。


 ヴァネッサが上空に離脱すると同時に、石礫は先程まで彼女が進もうとしていた進路を加速。当然、その先にいるのは口を開けたキマイラだった。



「くっ、少し狙いがズレましたか。だが、これでも多少はダメージが入ったはず」



 杖を用いず、箒を杖代わりに魔法を強制的に発動。回避と同時にその動きを魔法射出の加速に用いるという奇襲で、キマイラの大きな犬歯が半ばから折れていた。


 懐から杖を抜いたヴァネッサは、呪文を唱えて高所から連続で火球を連続で撃ち放つ。背中や蛇に着弾し、わずかにその動きが鈍くなった。


 それを見て、勇輝たちも魔法で援護しようとしたのだが、キマイラは予想外の動きをする。攻撃を浴びているにもかかわらず、桜を追い始めたのだ。

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