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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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年越しパーティーⅣ

 普段、食べ慣れない和の国の料理でも、全員の口にはあったようで、楽しく話を続ける。


 そんな中、不意に部屋の扉が叩かれた。



「ヴァネッサ先生、かな? どなたですか?」


「手紙ガ届イタ。コノ部屋ノ主、桜アテ」



 ガーゴイルのくぐもった声が扉越しに聞こえてくる。


 桜は食器を置いて、扉の方へと歩いていく。



「こんな時期に手紙なんて、届くのか……でも、誰から?」


「さてね。少なくとも、あたしたちが想像できるのは、家族からの手紙とかじゃないか?」



 マリーの指摘に、あり得る、と当然の反応を勇輝はする一方で、心の中では首を傾げた。


 以前、桜に帰省するよう促した時には、式神で――恐らく、街の結界を擦り抜けて――直接、届けに来た。それをわざわざしないのは、急ぎの用事ではないからか。


 不安げに桜の後ろ姿を見ていると、彼女は手紙の差出人を確認しながら戻って来る。



「桜、誰から?」


「これ? 二通あって、片方はお父さんたち。今、見てみるね」



 アイリスにわかるように手紙をひらひらさせた桜は、和柄の模様が入った封筒から中身を取り出す。



「えっと……あぁ、やっぱり、新年のあいさつのお手紙だ。ちょっと早めに届いちゃったみたい」


「桜のお父さん、しっかりしてる人だから、そういう挨拶は欠かさなそうだよな――やっばい、俺も今から送った方が良いか?」



 この世界で年賀状を送ろうなどという思考が無かった勇輝は、すっかり慌ててしまう。義父母への礼を失するとは、流石にまずいと背中を冷や汗が伝う。



「あっ、お父さんってば流石。勇輝さんが慌ててると思うから、返信は不要と伝えて欲しいって。私たちが乗ってきた船に、元々、預けて合って、ギルドから今日届くようにお願いしてあったみたい」


「それ、おかしくないですか? ギルドから届くように日時指定をしていたなら、明日、確実に届けられたはずです」



 ソフィの指摘に、周りも頷く。いくら年末年始とはいえ、そのようなミスをギルドがするはずがないという表情を誰もが浮かべていた。



「うーん。何だろう。『空に上がれば、それを追って現れるものあり。特に西方、注意せよ』って」


「おみくじの本分の後に書かれている『学業』とか『失せ物』とかみたいだな」


「え、何それ?」


「あぁ、俺のいた所のおみくじは、吉とか凶、具体的な運勢に関する本文の後に、いくつかの項目があって、いろいろアドバイスが書いてあるんだ。『引っ越しするのはやめておけ』、『勉強はどこか忘れているところがあるかもしれないぞ』とかね」


「そうなんだ。じゃあ、これもお父さんが占ってくれた助言、かな?」



 桜はもう一度、手紙に書いてあった部分を読み直し始める。



「空に上がれば、って明らかに飛行魔法のことだよな。桜の父さん、預言者じゃん……」



 マリーの呟きに勇輝は、まさかな、と変な考えが過ぎった。


 和の国で予知や予言といえば、巫女長を務める勇輝の曾祖母が有名だ。桜の父とも何かしらの繋がりがあるのは知っていたが、今回の手紙は曾祖母の差し金ではないのかと勘繰る。



「これ、飛行魔法を習うの止めた方が良いってことかな?」



 桜が露骨に肩を落とす。しかし、勇輝はそれを即座に否定する。



「それなら注意せよ、なんて書かないんじゃないか? 俺が親で、回避できない命の危険があるなら、絶対にやめろって言うと思うし」


「それもそうだよね。それか、勇輝さんがいるから、ちょっとの危険は大丈夫、とか思われてるのかも」


「……それはそれでプレッシャーなので、勘弁してほしい。努力はするけどさ」



 今までに何度か桜を守ることはあったが、親にそれを期待された上で、となると話は変わる。正直、変な凡ミスをやらかしかねないと、今までの自分の経験が全力で警告を発していた。

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