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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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料理開始Ⅲ

 ババ抜きに七並べ、ダウトにポーカーなど遊ぶ種類を変えながら、遊び続けること数時間。


 桜が予定していた料理の開始時刻が近付いてきた。外から五時を告げる鐘の音が鳴り響いたのを合図に、最後のゲームとしてトランプをしまう。



「ババ抜きは顔色を変えないフェイの圧勝。七並べは悪戯コンビのマリーとアイリスが勝つか、逆に潰し合って自滅で、みんな平等に勝ってた感じか」


「そういう君は異様にポーカーの勝率が高かったな。何か秘訣でも?」


「別に、ただ出やすい数字を計算しただけだよ。まぁ、こんなに人数がいるとあてずっぽうな部分が大半だったけど」



 勇輝とフェイは、今まで鍛錬の話しかしていなかったのが嘘のように会話を弾ませる。そんな中、悔しそうに勇輝は言葉を絞り出した。



「ダウトはソフィとフランが強かったな。すぐに数字通りのカードを出してないってバレるんだから」


「水精霊だった影響か、嘘には敏感なのかもしれませんね。ババ抜きは混ぜて伏せられると、持っていた本人にもわからないので私も見抜けませんが、ダウトなら別です」


「商人の卵として、それくらいは嗅ぎ分けられるようにならないといけませんからね。でも、桜さんはどのゲームでも手強かったです」



 片や魔力の流れを感じ取る水精霊。片や人の表情を読み取る商人見習い。どちらも強敵であった。


 そんな彼女たちでも、桜は別だったらしい。実際に桜はどのゲームでも満遍なく勝ちを拾っていた。そして、同じくらいビリにもなっていた。ある意味では、ここぞという時に盤面をひっくり返すジョーカーのようでもあった。



「あはは、欲張ると上手くいかないから、なるようになれーってやったのが良かったのかも」


「無欲の勝利、ですね。桜さんらしいといえば、らしいです」



 ソフィが微笑みながら頷く。その横で、フランは桜の表情を今も読もうとしているのか、じっと見つめていた。


 少し冷たい空気が蠢く廊下を通り抜けると、目的の厨房に到着する。



「さて、ここからは、おいしい料理づくりの時間! みんな、寒いけどしっかり手を洗ってね」



 桜の声に一部が悲鳴を上げながらも生活魔法で水を生み出して手を清めていく。


 勇輝も同様にして水の球を作り出し、その中に手を通すのだが、すぐにもう一つ作り出して桜の前に浮かべる。既に何度かやったことがある行為なので、勇輝と桜のどちらも声をかけることなく、自然に手を洗い出した。



「アイリスさんや。見ましたか? あの意思疎通ぶり」


「うん。夫婦みたい」


「ちげーよ、アイリス。みたい、じゃなくて、夫婦なんだって」


「はい、そこ。まじめにやる!」



 これ見よがしにマリーがにやけた顔でアイリスと会話するが、いつもは顔を赤くして慌てる桜も料理開始となっては真剣な表情を浮かべる。因みに、顔は赤くなっていた。


 料理をする為の班分けは次の通りだ。


 豚の角煮班は、勇輝とアイリスとフラン。それに合わせるサラダはフェイとマリーとソフィ。それに加えて、幾つか料理を用意をしながら総監督するのが桜になる。



「とりあえず、お米を研いだ汁で豚肉を茹でるの。そうすると臭いが抑えられるから」


「へー、その白い汁。洗った後の物なのに、使えるんだ。……汚くない?」


「お米を洗うのは汚いからじゃなくて、糠――お米を包んでいた皮とかの残りを取るためだからね。もちろん、このままの汁を放っておけば汚いけど、すぐに使えば問題ないから」



 巫女見習い時代の受け売りだけどね、と断った上で桜は、手早く研ぎ汁をボウルから鍋に移し替える。


 その間に豚肉を切っていた勇輝たちは、その鍋にどんどん肉を入れていく。最初は包丁をアイリスがしっかり使えるか不安だったが勇輝だったが、彼女は問題なく使えていた。


 そもそも、夏にかき氷を作る際には、魔法で包丁を高速で動かすという文字通りの離れ業をやってのけていたのだ。直接、手で操作する方が安定しているのは当然と言えば当然か。

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