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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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空中偵察Ⅳ

 その後、伯爵夫人が飛行しながら案内した場所は四カ所。その内の二つが謎の黒い物体が埋まっているところだった。


 一つは想定通り、狼の首を持つゴブリンらしきものが魔眼に見えた。伯爵夫人の岩の槍とメイドたちの炎の柱で、同じように駆除を行うことに成功する。


 問題は最後に見つけた二つ目の方だった。



「まったく、アレは一体何かしら……」



 伯爵夫人は箒の上で首を傾げていた。


 それもそのはず。何せ、岩の槍で掘り起こしたのは、岩の槍よりも大きな黒い物体だ。勇輝の魔眼を使うまでもなく、地表に姿を現していたそれだが、掘り起こしてみるとあまりにも巨大だった。



「もしかして、昨晩現れた大きな魔物が入っていたとか?」


「その可能性もあるわね。でも、そうだとすると、少しばかり大きさが合わない気がするのよ。運ばれてきた死体を見たけど、恐らく、あの岩の方が一回りか、二回りは大きいわね」



 巨大なだけではなく、それは中から破られていた。勇輝の魔眼にも光は見えず、黒い岩自体の淡い光が見えるかどうかといった様子だった。


 その破られた穴から推測すると、オルトロスと勇輝たちが呼称した巨大な双頭の狼に見えなくもないし、岩自体の大きさを見れば、もっと大きい個体が中にいたとも考えられる。



「中身がないなら、持ち帰って調査するのもよいのでは?」


「そうね。でも全部は危険だから、まずは欠片を回収して街の外で調べてみる必要があるかしら。あなた、アレを砕けるかしら?」



 メイドの提案に伯爵夫人は渋々と言った様子で頷いて、勇輝に問いかける。ここまで魔眼による援護しかしていなかった勇輝は、大きく頷いて自分を降ろすよう要請した。



「噂のガンドとやらで砕くのかしら。それとも、枝を撫でるだけで切り落としたという剣の切れ味を見せてくれるのかしら」


『おう、俺としてはどちらでもいいが、魔眼を開いている時に切りやすくなっている気がするぞ。その分、魔眼の負担も増えてるかもしれないから気を付けとけ』



 心刀が勇輝へ思念で警告する。


 元々、心刀自身が切れるかどうかの感覚を一番理解している。そんな心刀が魔眼を開いている時とそうでない時で明らかに差があると感じるのならば、それはほぼ事実と言っていいだろう。



(ここはガンドでやる。この塊自体が危険なら、砕いておいた方がいいだろうしな)



 勇輝は右手に魔力を籠めながら、地上に足をつける。


 長い間、ブランコのように吊られていたからか、数歩ほどよろめいてしまった。気恥ずかしさに顔が赤くなるのを感じながら、勇輝は人差し指を塊へと向ける。



(とりあえず、中心に一発。強度次第では、もう一発ってところか?)



 適当に魔力の籠ったガンドを撃ち放つ。冷たい風を切って進んだ魔力の弾丸は、狙いを過つことなく着弾した。


 岩の槍の圧力で壊れていただけあって、即座に黒い塊は四方八方に砕け散る。その瞬間に、ただでさえ弱かった光は感じ取れないほどにまでなってしまった。



「とりあえず、これでいいですか?」



 勇輝はちょうど自分の目の前に飛んできた欠片を拾い上げる。


 すると、伯爵夫人は杖でそれを指し示した。欠片は空中に浮き上がり、いつの間にかポーチから取り出した瓶の中へ仕舞い込む。



「得体の知れない物に、軽々に触れてはなりませんよ。最低でも革の手袋をするか、魔法で持ち上げて瓶の中へとしまうべきね。戦闘能力に対して知識を伴わせないと、下らないことで命を落としますよ?」


「き、気を付けます」


「良いのですよ。普通は逆のことを言われる若い子の方が多いのですから。あなたならそれくらいのことをしっかり学びとれるだけの力もありそうです。王都に戻った時には、魔法学園で頑張るんですよ」



 激励をされながらも勇輝が縄に吊るされた椅子へと腰を掛けると、伯爵夫人は街へ戻ることをメイドたちに宣言した。


 欠片は街の中には持ち込まず、オルトロス同様に外で調査が行われる。尤も、その結果は特に何かが判明するわけでもなく終わってしまうのだが、それは数日後のことである。

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