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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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運搬Ⅳ

 騎士たちの予想に反して、枝の切り落とし作業は夕方前どころか昼過ぎに終わってしまった。


 枝の数を数える作業も大人数だっただけに、すぐに終わり、勇輝のコートの中に全て納めることができた。



「こうまで凄い作品を見せられたら、世間での変な作品を作る人っていう評価を受け入れていた自分が恥ずかしくなる……」



 クレアは地面に広がっていた枝が一本残らず収納されてしまった光景を見て、大きくため息をついた。それは他の騎士たちも同じだったようで、ロジャーの作品かどうかは関係なく、勇輝が行ったことに驚きを隠せずにいるようだ。



「ふ、ふむ、風の噂で黒髪の魔法剣士が城壁に穴を開けたという話を聞いたが、もしや彼がその人物かな?」


「直接見たわけではないので何とも言えませんが、恐らくは……」



 質問されたメリッサは小さく頷く。それを聞いて、騎士は化け物を見るような目で勇輝へ視線を送っていた。


 そんな彼の下へ勇輝は普段通りに歩いて来る。



「これで回収はほぼ終わったと思います。みなさんが数えながら手伝っていただけたので、回収忘れもないはずです」



 貴重な素材を落としたままにして、誰かに取って行かれるのはマズイ。そのような事情もあって、複数人の監視体制の下、全ての枝の回収を丁寧に行っていた。


 十束ずつにまとめられてくる細枝を回収し、だんだんと大きくなる枝も構わず入れ、最後の太い枝は勇輝自身が赴いて袖を近付ける。時間にしておよそ数十分の作業だった。



「では、街の中へと戻るとしよう。きっと伯爵夫人もお喜びになられるはずだ」


「いや、早く客人が帰られてしまうことに逆に悲しむのではないか?」


「……その可能性もあるが、彼らにも事情がある。その点は致し方ないだろう」



 騎士たちが先導する中、勇輝たちはあることについて話し始める。



「なぁ、昨日の魔物だけど、いったいどこから来たんだと思う?」


「伯爵夫人は、そういう物が生まれ出て来るダンジョンは存在しないって言ってたから、どこからか来た魔物の群れなんじゃない? 実際に群れを率いてそうなデカい狼だっていたんだから」


「でも、俺はあの魔物が自然に生まれた存在には思えなかったんだよな……」



 勇輝は魔眼で見た光景を思い出しながら呟く。


 双頭の狼の頭部と首の境に、明らかな色の異なる境界線が見えていた。まるで、一度切り落としてくっつけたような跡だ。



「勇輝さんが見たそれから推測すると、誰かが無理矢理魔物を捕らえて、改造していることになるけど……」


「だからこそ、ポピーさんも何とか解決したいと思ってるんだろう。下手をすると、その矛先がシルベスター伯爵に向きかねないから」



 狼頭を持つゴブリンも、双頭の狼も、「二つの物を一つにする」という魔法を扱うシルベスター家にとっては、どうあっても関係性を疑われる存在だ。


 今はまだ領内の問題で済んでいるが、これが伯爵領を越えたところで目撃され始めれば大問題になるのは容易に推測ができる。



「何とか解決できないかな? ほら、前にローレンス領でやったみたく、魔眼で魔物の出現を観測するみたいな――って、それに頼ったら、また勇輝さんが無理しちゃうか」


「あれは狙って見れる光景じゃないからさ。それに魔物の出現は、街がダンジョン化してたからわかっただけで、こういう自然な場所だと見つけられないと思う」



 桜の提案に勇輝はできる可能性はあるとは感じていた。ただ、枝を切る時に魔眼を酷使したせいで、あまり使いたい気分ではない。少なくとも、あと数時間は魔眼を使わずに過ごしたい気持ちが強かった。



『あれだな。一番確実なのは、あいつらが欲しがるものを与えて、尾行するくらいだろう。もし巣があれば、そこを襲って殲滅すればいい』


(それをやるのに、どれだけの時間と準備が必要だと思ってるんだ)



 心刀の提案を聞き流し、勇輝は近付いて来る外壁を見る。


 あくまで依頼されたのはクレアたちで、しかも内容は「調査・討伐」ではあるものの、その具体的な内容は示されていない。さらに言えば、その役目は昨夜の戦いで十分に果たせていると言ってもいいはずだ。

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