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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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運搬Ⅰ

 メインとなる太い枝から分かたれた枝を、騎士たちが斧でさらに分割していく。


 細くなれば、その分だけ強度も落ちるらしく、数回の振り下ろしで枝が切れる場所も存在していた。このまま行けば、夕方になる前に全ての工程を終了できると、騎士の一人が勇輝に笑顔で告げた。



「いや、この作業は本当に疲れるんです。これよりも柔らかい樹木でやった時も、かなり大変だったんですよ」


「そうですか。お役に立てたようで何よりです」



 勇気も笑顔で返事をするのだが、その目には若干、不満の色が宿っていた。



(結構感覚は掴めたんだけど、やっぱり一度止めると、すぐには焦点みたいなのが合わないな)



 遠目で枝を観察する勇輝だが、なかなか緑の光が自分の思った場所に集まらない。


 この技術を応用すれば、もしかすると何でも切れてしまうのではないかという推測をしていたが、そう簡単にはいかないようだ。



『ま、何でも切れたところで、それはそれで危ないからな――って、感じのことをさっき考えてただろう?』


(何だよ、お見通しか……でも、使える手段は多い方が良いだろ? 何せ、お前の役目は切ることなんだから)


『それを言われちゃお終いだな。使い手の技量が上がるのに越したことはないから、お前の言う通りだよ。後は下らないことに気を取られて、変な物を切るなよ?』


(……変な物って?)


『さてな。でも、いくつも切ってると、いろいろと面倒な物も巻き込んじまうもんなんだよ。俺の勘だけどな』



 全く以て要領の得ない心刀の回答にどうしたものかと考えていると、クレアと桜が勇輝の下へとやって来た。



「お疲れさん。とりあえず、一仕事終わったみたいだから、桜を連れて来たよ。一応、周囲の警戒は必要だけど、少しくらいはゆっくりしても怒られないでしょ」


「お疲れ様。まさか、斧ですら喰い込まないのに、一刀両断しちゃうなんて驚いちゃった。身体強化とか無理してない?」


「桜。勇輝の凄いところはそこじゃない。こいつ、刀を振り被るどころか触れさせただけで切っちまったんだ。いくら武器が良かったとしても、あんなこと起こるはずがない。絶対に何か裏があるはずだよ」



 クレアは目を細めて腕を組む。


 恐ろしいことに、勇輝の魔眼の視界を見ていなくとも、いくつもの武器を使って来た経験から、武器でも技量でもない何かを使っていることに気が付いているようだ。


 特に勇輝は隠す必要がないので、正直に自分に目を指差す。



「俺の魔眼だよ。元々、色々な光を放って見えてたんだけど、それの見方をちょっと工夫したというか……。まぁ、まだ上手く使いこなせていないけどさ」


「へー、前に桜に話を聞いた時には、それで薬草の種類を見分けてたって教えてもらったけど、いろいろな使い方があるんだな。発想次第で他にもできることが増えそうだ。ここの伯爵様みたいにな」



 二つの物体を一つにする。その魔法だけで成り上がった一族。


 他にも気付いていないだけで、同じように価値のある魔法が、この世界にも眠っている可能性は十分にある。もしかすると、その中には、元の世界に戻る為の転移魔法に関わるものもあるかもしれない。そういう意味では、勇輝も己の魔眼だけでなく、他の魔法への知識を蓄えていかなければいけないと感じている。



「でも、前に身体強化の使い過ぎで大変なことになったこともあるんだから、魔眼も使い過ぎるのは良くないと思う。何か、変なものが見えたり、逆に普通は見える物が見えなくなったりしてない?」


「大丈夫だよ。二人のことはしっかり見えてるし、周囲の風景もわかる。まぁ、ちょっとここら辺が疲れた気がするにはするけど、想定の範囲内だ」



 勇輝は親指と人差し指で目頭辺りを摘まんで解す。冷たい指先が熱を奪っていく感覚が心地よく、思わず大きなため息が出た。

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