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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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伯爵邸・宿泊Ⅶ

 冬ということもあって、陽が沈んでも寝る時刻には少し早い。どうしたものかと、勇輝が視線を彷徨わせていると桜と目が合った。



「そういえば、勇輝さんはずっと銀の指輪を魔法媒体に使ってるけど、変えるつもりはあるの?」


「あぁ、これか。もう、体の一部みたいなもんだから感覚が変わると刀を持つ時に違和感が出そうでさ。それに特段困っていることも無ければ、早々に壊れることもなさそうだし」



 勇輝は己の右手人差し指に嵌った指輪を見つめる。


 スターリングシルバーと呼ばれる銀に銅などを混ぜ込んだもので、傷つきにくくなっている。



「銀貨や家具に使われるものと同じ配合で作られた指輪ですか。確か、スターリングシルバーの特性は、製造時のある温度で時間が経つにつれて硬度が増すことでしたね。よほど荒い使い方をしなければ壊れることはないでしょう」


「アイリスも銀は良い選択だって言ってくれてたからな。とりあえず、大切に使うよ」



 メリッサの言葉に勇輝は頷く。


 コレクションする趣味がないわけではないが、自分の装備に関しては有用かつ気に入ったものを使いたい。その点、今の装備は多少見た目に思うところがないわけではないが、それなりに愛着がわいている。



「そういえば、ロジャーさんからコートを新調してもらったみたいだけど、何か変わったことはあるの?」


「あぁ、これか? 基本的には今までと同じなんだけど、二つ変わったところがある」



 勇輝はそう告げると、魔力を自分の拳へと集中させる。



「元々、魔力を通すことで防御力を上げる効果があったんだけど、あくまで通している間だけ、身体強化と同じで魔力の供給を止めると終わってしまう。だけど――」



 勇輝は適当に胸を殴る。すると、服には皺が寄ることなく形状がそのままになっていた。



「今は魔力をいちいち通さなくても、こんな感じで防げるんだ」


「え、でも、勇輝さんは今、コートに魔力を流してないよね?」


「あぁ、だけど俺には勝手に周囲に魔力が集まりやすい状況なんだ。それを利用したらしい」



 勇輝の周囲には黄金結界と呼ばれるものが常時展開されている。その結果、周囲の魔力が勇輝の制御下に収まりやすくなっているらしい。



「で、本題はここなんだけど、このコートに自動で取り込まれた魔力を別のことに使うことができるらしいんだよ」


「別のこと?」


「そう。例えば、コートじゃなくて皮鎧だったり、俺の刀だったりと俺が触れている物体に移して、一時的に強化できるって聞いた」



 身体強化ならぬ、物体強化。それを自身の魔力を消費することなく扱えるのはかなりお得と言える。


 その説明を聞いて桜は、しばし考えこんだ後、眉を顰めた。



「それ、勇輝さんが使ったら、かなり強くない?」


「あぁ、何せ後から後から、周囲の魔力が勝手に補充されるんだ。実質、永続的に強化がされる状態だと思ってくれていい」



 桜の言う通りだ。誰もが自分の限りある魔力でやりくりしている中、勇輝だけは何の苦労もなく、勝手にタダ同然で魔法を行使しているのだから。



『魔力を注がれるこっちの身にもなってくれよな。腹一杯食ってるのに、まだ食えって言われてる感じがして大変なんだよ。まぁ、ありがたく頂戴しておくけど、限界が来たら、そのまま外に素通りさせるからな』



 心刀は思念で勇輝へと文句を叩きつけるが、それを勇輝は聞き流す。



「まぁ、俺としては魔力をコートに流すなら、その逆で『魔力を保存しておいて本人に戻せたらいい』って思ってたんだけど、結果的にできたのがこれらしい。桜の持ってるペンダントと同じような能力になると思ってたんだけどさ。そう上手くはいかなかったんだと」


「へー、それでもそんな能力を作れるなんて、流石、ロジャーさん。それで、もう一つの方は?」


「あー、それなんだけど――」



 勇輝は実際にその能力を見せようと立ち上がる。そこで窓の外に見えた光景に心臓が大きく跳ねあがった。


 勇輝が硬直したままなのを不思議に思ったのか、クレアがその視線の先を追う。数秒後、彼女も勇輝と同じ光景を見て目を見開く。


 城壁の外の空がやけに明るい。それも空から降り注ぐ月光ではなく、地上から何かが舞い上がりながら空を照らしている。



「外が――燃えてる!?」

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