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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第29巻 比翼連理の杖

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樹木選定Ⅵ

 勇輝は黒い光と認識できるものが、茂みの発する緑の光に混ざって近付いて来るのを認識する。下段に心刀を構えると、金属質の声が脳内に響き渡った。



『あの程度、俺の能力はいらねえな?』


(あぁ、それにあの能力は回数が限られる。まだ、そんなに溜め込めないんだろ?)



 勇輝は己の鞘を一瞥する。


 手に入れた時は漆によって黒く輝いていた鞘だったが、今は鐺の方に幾つかの銀色の光る模様がある。心刀曰く、「刀身にわずかに残った魔物の血を吸血性の樹木で作った鞘が吸って作り出した物」なのだとか。不要な鉄分などを外に排出する過程で、それが模様のように浮き出る。そして、その部分は不思議なことに魔力を溜め込みやすい性質を持っていた。


 発動できる転移の回数は、そこに保存された魔力に依存している。まだ、その模様が少ない今は多用するべきではない。加えて、それに頼り続けるようでは剣術の才能が伸びなくなる。

 勇輝と心刀は以上の二点から、ガンドと剣術だけでの対応に決めて、敵が来るのを待ち構えた。



「敵の数は最低でも十数体はいますね。何か、隊列を組みますか?」


「茂みの向こうが見えているのですか? それはありがたい。こちらが身を挺して食い止め、弾き飛ばします。それらを順に処理してください。近いものだけで結構です」



 そう言うと騎士たちは剣を構えて姿勢を低くした。あえて、茂みには近寄らずに飛び出てくるのを待っている。


 勇輝は他に敵はいないかと見回すが、包囲されている様子はない。回り込むことはできるはずだが、あえてしないのか。それとも、それを考えるだけの知能も無いのかは不明だ。



「来たぞっ!」



 騎士の一人が声を上げると、茂みから魔物たちが飛び出した。


 頭部は狼で首から下は人型。その色は緑色であることから、ゴブリンの体だろうことが予想される。体に不釣り合いな大きな頭と棍棒を握り込んだ指から飛び出るカギ爪。どう見ても、狼とゴブリンのそれぞれの利点が潰れてしまっている。もしも、これを意図的に作った者がいるというのならば、戦闘に関する知識があまりにも不足していると言わざるを得ない。


 騎士たちは、そんな魔物たちの頭部へと剣をぶつけ、地面へと叩き落とす。本来ならば、そこで止めを刺したいのだろうが、次々に飛び掛かって来る魔物を打ち払うので精一杯のようだ。



「クレア、右を頼む。俺は左に行く」


「はいよ!」



 勇輝はクレアの返事と同時に、前に展開した騎士の壁の後ろを通って、地面に伏せた魔物を追撃に向かう。


 起き上がろうと両手を地面についた個体の首を斬り飛ばし、さらに遠くへと飛ばされたものはガンドで吹き飛ばす。一動作で確実に息の根を止め、次の敵の襲来に備える。


 端にいた騎士は勇輝が安定して魔物を狩れると理解したようで、即座に足下にいた魔物を勇輝へと蹴り飛ばした。空中できりもみ回転をする魔物を、勇輝は危なげなく心刀を振りぬいて両断する。背後で両断された体が地面に激突する。肩越しに一瞬振り返ると鮮血が地面を濡らしていた。



「いつもより個体数が多いな。何か変化は?」


「いえ、特にありません。頭部と手がウルフ系の魔物になっている以外は、ゴブリンと変わりありません」



 騎士たちが戦いながら情報を共有していく。その間にも襲い来る狼頭のゴブリンが地面へと転がって行く。


 反対側ではクレアが細身の剣を魔物の首へと突き刺し、足をかけて引き抜いていた。



「こいつら、退くことを知らないのか? ただの自殺行為じゃないか!」



 勇輝が初めて出会ったゴブリンは、危険と判断して撤退をする知能があった。しかし、まるで何かに無理矢理やらされているかのように魔物たちは血を流そうが、地面に倒れようが、体が動く限り勇輝たちへ襲い掛かろうとしていた。

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