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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第28巻 愚者の斧と見掛け倒しの斧

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完全破壊Ⅳ

 勇輝は路地裏へと一度跳び下り、桜たちの元へと戻った。

 すると勇輝の接近に気付いたマリーが目を丸くする。


「勇輝! 何かわかったか?」

「いや、ほとんどわからなかった。でも、一つ良い方法が浮かんだんだ」


 勇輝はメルクに近付くと金貨を見せた。


「魔法で干渉するのは魔力量的に難しい。それならば、物理的に干渉した上で停止命令を送り込むのはどうですか? 技術的にできるかどうかはわかりませんが」

「……詳しく聞かせてくれないか?」


 メルクが金貨を見て眉根を寄せる。勇輝の真意を測りかねているようだ。


「水銀は常温で金を溶かす性質がありますよね。その金に停止命令の魔法を掛けておくというのはどうですか?」

「なるほど。魔力を大量に含んだ生きた銀自体に魔法を掛けるのではなく、魔法を掛けた物を取り込ませて術式を停止させるのか。金は溶けても無くなりはしない。それなら私の停止命令の術式も今より残りやすい、か……」


 メルクは顎に手を当てて唸る。

 外からよりも内部からアプローチを掛ける方が断然に効果は期待できる。固形物としてではなく、溶けて一体となるならばより確実だ。後は、その停止命令が刻み込まれた金を生きた銀が遠ざけるのか取り込んで無効化するのか。どちらにしても勇輝は魔眼で金の光を追い続けて見極めればいい。


「それで、できそうですか?」

「問題点が二つある。一つは魔法を刻み込めるかどうか。もう一つは金が解けるまでにアレが吐き出さずにいるかどうか。前者は今から確かめられるし、やれるという自信があるけど、後者は――厳しいだろうね」

「そこは数で勝負ってところですね。例えば、矢の鏃部分に薄く貼りつけてそこに魔法を掛けるのはどうですか? それなら個数もかなり用意できると思います」

「……行けると思う。後は誰が攻撃するかだけど」

「そこは適任者がいるので問題ありません。恐らく、喜んで協力をしてくれるはずです」


 ギルド内に姿を隠し、今も矢を放つ冒険者。一度、銀の斧に首元を切られた恨みは数日で消えるはずもない。

 勇輝は声を掛ければ、間違いなく協力してくれるだろうという確信があった。


「冒険者ギルドの中に、矢を放てる人がいます。その人に話をしてくるので、それまでに魔法の準備をお願いします」


 勇輝は金貨をメルクに渡すとメインストリートの方へと駆けて行く。そんな勇輝の背中にメルクから声がかかった。


「ついでに耐熱用の入れ物を借りて来てくれ。ここで金を溶かして鏃につけられるように加工する!」

「わかりました。そんなに大きくなくていいですね?」

「あぁ、コップ程度の大きさで十分だ!」


 メルクも突破口が見えたことに安堵したのか、表情に余裕が見える。既に魔力を金貨に流し込んでいるようで、彼の手にある金貨はほのかに青い光を纏っていた。


「フラン、もう少しだけ頼めるか?」

「大丈夫です。でも、かなり魔力を使っているので、今度ルビーに魔力提供をお願いしますね!」


 任せておけ、と勇輝は頷く。そのまま壁に張り付いて生きた銀の攻撃の合間を見計らうと、メインストリートに飛び出した。

 背後で火球の爆発音を聞きながら、冒険者ギルドへと飛びこむ。


「うおっ!? って、さっきの奴か」

「えぇ、その様子だと無事そうですね」

「おう、さっきはありがとな。だけど、無事なだけじゃ、こっちは気が済まないんだよ。どうにかして、あの銀色の物体を撃ち落としてやらないとな」

「そのことでお願いがあって来たんですけど、協力してもらえませんか?」


 勇輝は憤怒の表情を浮かべた冒険者に、メルクと話した内容を手短に話す。すると、その冒険者の目が見開かれていく。

 それは信じられないという驚愕の色と生きた銀にやり返すことができるという喜びの色が混ざっていた。

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