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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第5巻 暗黒の淵にて、明星を待つ

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ウンディーネ救出作戦Ⅶ

 前回り受け身をしながら地面を転がり、すぐに顔を上げると左肘から先が辛うじてぶら下がっているゴーレムが、立ち上がるところだった。


「このまま両手、両足もいだ方が楽かもしれないな」

「二人とも、離れて!」


 ユーキの後ろから声が届く。そちらには振り返らず、ユーキもフェイも、その意図を察して全力でゴーレムから離れた。


「『地に眠る鼓動を以て、その意を示せ。()()()()()()()()()、巨石の墓標よ』」


 数秒後、地面が揺れると共に立ち上がったゴーレムの足を岩が覆いつくす。フェイの側にいたアイリスが放った地属性中級汎用呪文の捕縛アレンジ呪文だ。流石は天才魔法少女といったところか、即興で呪文を考えることもできるらしい。

 しかし、即興による突貫工事ならぬ突貫魔法だったためか、はたまた魔力不足だったからか。ゴーレムが身を捩ると岩の拘束に罅が入り始める。

 ユーキがガンドを放とうと構えた瞬間、アイリスの隣にいるマリーとユーキの後ろから声をかけたサクラの詠唱が同時に響いた。


「「『地に眠る鼓動を以て、その意を示せ。すべてを穿つ、巨石の墓標よ』」」


 こちらに背を向けたまま脱出を図ろうとするゴーレムの左右背面から巨大な岩の槍が突き出される。その勢いは数が二つに増えたこともあってか凄まじいものがあり、足の拘束を砕いて体を浮かせ、ユーキたちが入ってきた扉へと押し付けることに成功した。


「いや、まだか」


 ユーキはゴーレムに魔眼を向けると、その体にまだ並々ならぬ魔力が宿っていることが分かった。その証拠にゴーレムは壁へと右腕を着くと、腕立て伏せをするかのように壁を押して岩石の槍を押し返し始める。


「こ、これでもダメなの?」


 苦悶の表情を浮かべてゴーレムに対抗しようとするが、それも長くは持ちそうにない。槍にだんだんとひび割れが入っていき、今にも根元から折れそうな状態だ。


「こうなったら……」


 ユーキはすかさず装填していたガンドでゴーレムの背面。人間でいう肩甲骨の間あたりに照準を定めた。


「喰らえっ!」


 ガンドの四発連続撃ち。西部劇のガンマンですらも不可能な()()()()()()()()()()()()()、かつ()()()()()()()()()()()()()

 その直後に閃光と大音量を放ち大爆発を起こす。再びゴーレムは、その衝撃で壁へと押し付けられた。効果は絶大で、背中の大部分が大きく削れたが、その分ユーキの反動も大きく、右手や指に今までなかった痛みが走るようになり、思わず顔を顰める。

 残弾数はまだ一発ある上に、魔力も余裕があるので補充もできる。しかし、右手の痛みが「今は撃つな」と訴えていた。「撃てば致命的な何かの崩壊につながりそうだ」と。


「あそこまでやってもダメか。ユーキ、まだ行けるか?」

「――――ちっ、駄目だ。ちょっと手を反動で捻った。暫く撃てそうにない」

「くっ、僕にも何か打つ手があればいいんだが……」


 フェイが悔しそうに唇を噛んでいると、ふと自分の腰につけていた革袋の中に手を突っ込んだ。そして、中から出したものは。


「やめとけ、そんなんじゃ俺のガンド程、削れはしないと思うぞ」

「う、うるさいなぁ。ちょっと考えてみただけだよ。ちょっとだけ」


 そう言ってフェイは爆破石を元の場所へとしまい込んだ。確かに爆破石は音こそ強烈だが、そこまで大した威力があるようには見えない。実際に、中庭で使った時も石三つ分に対しての威力と考えると弱い。魔眼から得られた光量だけを考えてもガンドには遠く及ばないだろう。

 どうにかしないと、と思いゴーレムを観察していると、動きがやけに大人しくなっていた。何事かと見つめていると空中に舞ったり、地面に落ちたりしたサファイアの塵や破片が集まりだし、ゴーレムの抉れた体を埋めていく。


「こいつも再生能力か。時間差で見せてくるあたりにいやらしさを感じるぜ」


 マリーの言う通りだった。再生能力があるとわかっていれば、もっと時間をかけて強力な一撃を放つ方向で動くことができたのに、これでは体力と魔力の無駄遣いだ。


「みんな、集まってくれ。ゴーレムの再生中に作戦会議をしたい」

「そんな悠長なことしてて、大丈夫?」

「あぁ、一撃で決めるには連携が必要だ。このまま追い打ちしてもジリ貧になるだけだしな」


 アイリスの心配を一蹴し、ユーキは自信をもって答える。この場を切り抜ける最善の方法、その一つを既にこの戦闘の中で見つけ出していた。

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