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生きた銀Ⅱ

 生きた銀が銀色の斧だったと仮定して、いくつか対応の場合分けをしてみることにした。

 まず最初に斧がメルクを探しているだけの場合。これならば、メルク自身が捕まえることで問題は解決。勇輝たちが出る幕は無い。

 次に斧が勇輝やその場にいた桜たちなどを標的にして追跡してきた場合。これは積極的に迎撃しなければ危険な目に遭う。何しろ、欠片になっても再生して襲い掛かって来ることが既に分かっている。放置しておけば、夜に寝ることすら叶わないだろう。

 そして、最後に斧の自由意思で、ただその場に浮遊しているだけ。これに関してはメルクが見つけた後にどうするかにかかっている。


「私たちに攻撃をしてきていない以上、一先ずは静観を貫くのが得策かも」

「仮に対応するとして、あの斧が自分からバラバラになったら、私たちじゃ、難しい」


 生きた銀が液体のように姿を変えるという言葉が、文字通り液体を指すのであれば、分離することも可能ということ。

 最小の大きさがわからない以上、下手に手を出せば死角から奇襲されかねない。加えて、その捕縛となれば難易度はかなり上がる。


「もしも、あれを捕縛するなら、完全かつ頑丈な密閉空間に押し込めないといけない。そうなるとするべき手順も、魔法も限られてくる」

「火属性と風属性は論外として、水属性と土属性か……」


 珍しくアイリスが弱気な発言をするが、それも仕方ないことだ。マリーも隣で、取り得る手段が少ないことを嘆いて肩を落とす。特に自身の得意とする属性の魔法で、太刀打ちできないことに悔しがっているようにも見えた。


「私の土属性魔法でも難しいと思う。だって、岩の槍で囲んだとしても隙間があるから、液体なら出て来ちゃう」

「そうなると水属性か。確か中級汎用魔法は水の球体の中に閉じ込めるんだよな?」


 勇輝が問いかけると、アイリスが不満そうな顔をする。


「正確には、閉じ込めた上で水流を複雑に高速で動かすことで、抜け出そうとする行動を阻害する。あれは余程練習をしないと、魔力制御では再現できない。だから、魔法として発動するしかない」

「水精霊だった立場から言わせていただくと、銀のような金属だと人と違って中に閉じ込められない可能性が高いです。あの魔法は武器を持っている敵を、水流でもみくちゃにするついでに武装解除させることも想定しているみたいですから」

「汎用魔法として、必修になるのも、当然」


 どの属性の魔法であっても抜け出されてしまう可能性が高い。そうなると、もはや手段としては完全に破壊する。すなわち、勇輝が思いつく手段としては、斧の全てを包み込む大きさのガンドで跡形もなく消し飛ばすことだ。


「捕縛するにせよ、破壊するにせよ。斧を構成する全ての銀を集めきらないといけない。少しでも逃せばアウトだ」

「破壊するのはメルクさんに相談してからの方がいいよね。生死問わずとは言ったけど、討伐依頼じゃないから」

「そうなると、受付で連絡を取ってもらうしかないか」


 その間に何も被害が出ないことを祈りつつ、桜の提案を受けて勇輝たちは受付へと向かう。するとコルンが勇輝たちを見て首を傾げた。


「おや、どうされましたか? 依頼の報告は先程終えたはずですよね?」

「その、外で騒ぎになっている銀色の斧が、俺たちが解決した依頼に出てきた斧とそっくりなんです。おまけに、その斧の特性からすると、そこの依頼掲示板に出ている『生きた銀の回収』にも関わってそうで……」

「なるほど、詳しく聞かせていただいてもよろしいですか?」


 勇輝はアイリスやソフィの意見も踏まえつつ、依頼主であるメルクに破壊する許可がおりるか確認したいことを伝える。すぐにコルンの表情が困惑に変わった。


「申し訳ありません。あくまであの依頼は捕獲・回収となっているので、依頼主の意に沿わない損壊はギルドとして認めることはできません」


 桜の推測通り、依頼の条件として討伐ではなかったために、ガンドでの解決は無理そうであった。

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