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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第28巻 愚者の斧と見掛け倒しの斧

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解放された者Ⅰ

 ダンジョンの外に出た勇輝たちは、頬を突き刺すような冷たい風を受けて目を細める。

 ちょうど、他にも何人か出入りする冒険者がいたので、精霊石を誤魔化しながらの脱出となった。


「なるほどね。精霊石は単一の魔力で見えるから、アイリスの魔力制御の練習と思わせれば違和感はないのか」

「バレても精霊石じゃなくて、魔道具か何かだと勘違いしやすい、はず」


 アイリスの杖の動きに合わせて幾つもの水の球がお手玉のように空中を浮遊する。水の魔力の塊である水精霊は、魔法を使い慣れた者から見れば、青く見えているという。それならば、水の魔法を常時使い続けていれば、誤魔化せるだろうというものだ。

 アイリスとソフィが役目を交代しながら歩き続け、人気がなくなったところで精霊石から水精霊を解放するつもりでいた。


「ふー、かなり窮屈でしたが、おかげで外に出れました」

「これで自由の身ですね。これから、どうするんですか?」

「一先ずは城から流れて来る水の多い場所に向かいます。なんだかんだ言って、あの周辺はきれいな水が多いですから」


 水精霊と元水精霊の会話に、勇輝たちは耳を澄ませる。

 水の都というだけあって、王都は水精霊的に過ごしやすいらしい。一時は毒に汚染される可能性もあったのだが、今になって思えば、大事にならなくて良かったと勇輝はつくづく実感した。


「では、その手前までは案内します。手ごろな小川などの水源か、地下水が豊富そうな場所に寄ればいいですね?」

『えぇ、それで大丈夫です。――しかし、驚きました。まさか、人間が精霊になって、また戻るようなことがあるとは』


 ここに至る過程で思念上ではあるが、水精霊と勇輝たちは会話をし続けていた。

 その中で水精霊の反応が最も強かったのは、ソフィが水精霊になったことがあるという事件だ。勇輝もそうなった経緯は詳しく知らないが、起きた出来事だけで考えれば、水精霊でなくても十分に驚くに値する。


『体が別にあったと考えるならば、魂自体が精霊化していたということです。それは根本的に人という枠から外れる行為。よく人の姿に戻れましたね』

「体の中に入れば、問題ないんじゃないのか? 器と中身がそろってるんだから」


 勇輝が呟くと、すかさず隣を歩いていた桜は首を横に振る。


「コップの中に水が入っていたのに、そこに色がついた水が入ったら、元々の物とは言えないでしょ? 中身が変質したら、見た目は一緒でも――って、言いたいんじゃないかな?」

「そうか。じゃあ、魂がそのままだったら、問題なかったのか……?」

「それはそれで難しいと思うよ。だって、普通は魂だけになったら生きていけない、よね?」


 そもそも魂だけになった人間が、この世に何人存在するか。実体験していない以上、他人から伝え聞くか、過去の資料や論文からしか知ることができない。そして、そのようなものを好んで調べる物好きはいないし、考えようともしなかった。それ故に、答えることができるのは、それに最も近い経験をしているソフィや水精霊になる。

 助けを求める桜の顔を察したようで、ソフィがしばし悩んだ表情を見せた。


「それを語るには、そもそも魂とは何かを定義することが必要そうです。私が話しても、感覚的にしか話せませんから」

「将来は学園で『魂』の研究をする教授になるのも面白いかもな。いないんじゃないか? 体と魂が別々になったまま過ごしたことがある人なんて」

「先駆者ならいますよ。お爺ちゃんは私を探すために、その研究をしていたみたいですから」


 マリーに言葉を返すソフィの表情はどこか誇らし気だった。

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