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隠し階層ダンジョンⅤ

 最初の隠し通路を出た勇輝たちは、マップに記された場所に向かった。

 途中で勇輝の魔眼が反応した壁や床を調べることが何度かあったが、基本的には行き止まりか、ただの窪み。魔物や宝箱、罠の一つも見つかりはしなかった。


「運が悪かっただけ、か?」

「そんな簡単に見つかるなら、先人は苦労してないって。本当に見つけようって思ってる奴は、入口から四人で徒党を組んで、四属性の魔法全部を試し打ちして探すぞ」

「それ、絶対に魔力がもたないだろ……」


 呆れる勇輝だったが、決して虱潰しに探す方法を馬鹿にはできない。時間も労力もかかるが、見えないエリアが存在していることが確定しているダンジョンにおいて、これほど見つけやすい方法はない。棒を片手に壁に触れながらダンジョンを探索するだけでも見つけられる可能性がある。そして、実際にそれを試した者たちはいるのだろう。

 ただ、一点だけ懸念点があるとすれば、ダンジョンが成長を続けていることか。せっかくダンジョンを全て探索したとしても、次の日にそのエリアが造られている可能性がある。それは勇輝たちも例外ではない。魔眼を逸らした次の瞬間に、出現していることもあり得る。


「一つ目の場所に到着したね。泉っぽい場所はあるかな?」

「あそこ、岩の隙間の先」


 桜が地図を見て唸っていると、アイリスがある一点を指差す。

 そこには人が一人通り抜けられるかどうかといった通路とも言えない隙間が存在していた。勇輝は魔眼でその先を覗き込むと、確かに十数メートル先に水のたまった場所があった。青い光を放つそれは、王都の水路を流れる水と比べても違いは特に見つけられない。


「変な光は見えないな」

「念の為、水を使って罠がないか見てみますね? これさえやれば、かなり安全が確保できると思うんですけど、あんまりやる人は多くないみたいですね」


 ソフィが杖をかざすと、水がどこからともなく現れ、地面や壁を這って行く。体重感知式や魔法反応式などの大体の罠には、これで対応ができるとソフィは言う。しかし、生活魔法で体の汚れを落とすのとは違い、体から離れた場所で液体を操るのは高度な技術だ。冒険者のいったい何割が、この技術を使えるだろうか。

 未だに中級魔法どころか、初級魔法を全て習得できていない勇輝からすると、苦笑いしか出てこない。


「うーん。特に変なところはないですね。泉の中にもそのまま入れてみましたけど、違和感は特にないです」

「そうか。てっきり、あたしは縄が張られたり、人を弾き飛ばしたりするような罠があるかと思ったんだけどなぁ」

「それ、前者はいいとして、後者の場合は人ごと落ちちゃいますよ?」


 マリーは一瞬だけ悩んだ様子を見せた後、人差し指を立てて笑う。


「あなたが落としたのは、銀の勇輝ですか? それとも、金の勇輝ですか?」

「……何故、俺が落ちたことになっている?」


 あまりにも自然な発言だったので勇輝は思わずスルーしてしまうところだったが、寸でのところで気付くことができた。

 マリーが何かを持ち上げて投げつけるような動作をしている。それはマリーとアイリスに初めて出会った時のことを勇輝に思い出させるには十分だった。


「アイリスミサイルなんて、くだらないことをダンジョン内でやったら、本気で怒るからな?」

「わかってるよ。流石にダンジョンでふざけて人を投げつけるなんてことしないって」

「ダンジョンじゃなくてもやるなよ……」


 あくまでジェスチャーで終わったことに、勇輝は安堵しながら岩の隙間を何とか抜ける。

 幸いにも足元はしっかりと踏みしめることができるくらい平坦になっており、湿っていたり苔が生えていたりで滑りやすいということは無かった。


「ますます不思議だな。どうやって、武器を泉の中に落としたんだ?」

「試しに何か落としてみるとか? そこら辺の意思とか、そうでなかったらあまり高くない道具とか」


 桜の提案で勇輝たちは自分の持っている道具を確認し始める。

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