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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第28巻 愚者の斧と見掛け倒しの斧

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隠し階層ダンジョンⅡ

 何故、冒険者たちは泉に物を落としてしまったのか。その点に関しては、不注意以外に何か理由があると勇輝は考えていた。

 誰もが揃いも揃って冒険中に持っている物を落とすなどあり得ない。


「桜はどう思う? 泉の中に物を落とすって、そんなことあると思うか?」

「正直に言うと、そこは私もあり得ないかなって思ってたの。だから、わざと落としたか、落としてしまう何かがあったかのどちらかだと思う」

「やっぱり、そうだよな。前者なら本人たちが話してるだろうし、罠か何かを疑うべきか……」


 そうとは言っても、物を落とす罠なんて聞いたことがないし、想像もできない。辛うじて考えつくのは、ロープのような物が張られていて足を引っかけてしまうくらいのものだ。


「うーん。そんな子供が考えるような罠なんて、ダンジョンに出るんでしょうか? それだと、武器は落としそうな気がしなくもないですが……」

「いや、ソフィ。だから、その子供が考えるような罠にかかったなんて言えないから、ギルドもそれを把握できてないんじゃないのか?」

「な、なるほど、羞恥心で……。確かに私も引っかかったら、恥ずかしくてなかなか言い出せないかもしれません」


 中堅の冒険者が張られたロープに躓いて武器を落とした。

 そんな噂が立って、しかも自分の名前もそれと共に広まれば恥ずかしいなどというものでは済まないだろう。少なくとも、勇輝はそんなものには耐えられずに、冒険者ギルドに数週間は顔を出したくなくなる。


「まぁ、とりあえず、中に入るけど。俺が先頭なのは良いとして、配置はどうする? 今日もフェイはいないけど、それの代案をマリーが考えたんだって?」

「そこはあたしに考えがある、って言っても他の人よりも、あたしが少しは時間を稼げるってだけなんだけどさ」


 そう告げたマリーは普段の装備に加えて、左手にゴツイ籠手を嵌めていた。いつだったか、ローレンス領の戦闘で使っていたものだ。


「ここの洞窟型ダンジョンの魔物は、ゴブリンがメインなんだけど、狼系の魔物も時々出るんだ。苦手なのは火魔法だから、無詠唱で出せるあたしが殿を務めた方がいいだろ? 最悪、噛まれそうになったらこれさ!」


 そう言って籠手を突き出し、その後ろから杖を構えた。

 数匹程度ならば一瞬で牽制が可能で、それを抜けて来た個体がいても一匹ならば時間が稼げる。その間に、中衛が対応に回ればいいという提案だ。


「オークの目撃情報もある。でも、それは勇輝と桜の魔法で、一撃必殺」

「そ、そうだね。多分、出来ると思う」


 雑魚は全員で対応し、中型以上は高火力で一点集中型の魔法が使える勇輝と桜が対応する。

 もしも、中型以上の単体であれば、アイリスやソフィの水の魔力制御で、顔を覆って窒息を狙うのも可能だ。


「いま思ったけど、水魔法の使い手って、えげつない攻撃多くない?」

「そんなことないですよ。風魔法で呼吸できなくさせたり、火魔法では一歩間違えれば全身どころか喉まで大火傷。土魔法は地割れで物理的に冥界送り、なんて言われてますから。過去に戦争が起こった時の資料を漁ると、高ランクの魔法使いたちがどれだけえげつない魔法を開発したかがわかります。尤も、それをできる魔力と技術を持った人は、あんまり最近いないみたいですけどね」


 ソフィがため息交じりに言うのだが、勇輝としてはそれを嬉々として語る彼女に頬を引き攣らせる。

 ソフィはそのような魔法に興味があるのか、と。水精霊だったこともあり、ソフィの水魔法に対する適正は、人間のそれを遥かに上回る。やろうと思えば、戦争時代の先人の魔法も再現可能だろう。


「魔王が復活するかもしれない状況なら、一つでも使える手段は増やしておきたいところです。時には魔力消費を度外視した魔法を開発することも必要ですからね」

「あ、そういう……」


 あくまで対人ではなく、対魔王と言う意味で言っていたことを理解し、勇輝はほっとしながらダンジョンの中へ足を踏み入れた。

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