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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第28巻 愚者の斧と見掛け倒しの斧

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増加する被害者Ⅵ

 勇輝たちは、そのまま足を進めて水時計のところまで向かった。

 四つの箱が並べられており、湧水がある場所から離れるにしたがって、階段状に下がっている。それぞれの箱が細い管で繋がれているようで、最下段の箱には目盛りが刻まれ、水面の高さで時刻が読み取れるようになっているらしい。

 そして、全く同じ構造の物が隣にも並べられていた。


(あれ? これどこかで見たことがあるな……)


 勇輝が首を傾げていると、隣で桜が不思議そうにその装置を覗き込んだ。


「これ、漏刻?」

「知ってるの?」


 桜がぼそりと呟くので、勇輝は問いかける。あまり聞き慣れない言葉だったので、勇輝自身は何のことかさっぱりだ。


「湧き出る水を利用した時計のことを日ノ本国では漏刻っていうの。日時計に対して、水時計って言う人もいるみたい。誤差が無いように二つ用意されているのも一緒かな。陰陽師の仕事である占術、天文観測、報時、暦の作成の一つで、その担当責任者は漏刻博士って呼ばれてるの。それで、この装置がそれとそっくりだから驚いちゃって」

「へー、聞いた話だと、この装置は代替わりしてるけど、建国して間もない頃からあったって。初代の装置は、どこかで保管されてるとか」


 音もなく溜まり続ける水を見ていたマリーはアイリスへと振り返る。

 それは何か彼女が知っていないかと言う問いかけの意味だったのだろう。それを受けたアイリスは、しばし考えた後、思い出したように告げた。


「そういう大切な物は、宝物庫にしまってある、と思う」

「ってことは、王城か。流石に見る機会は無いだろうな。でも、アイリス。よく、そんなことまで知ってたな」

「勉強してると、物知りな人が来て、勝手に教えてくれる」

「……情報漏洩とかしてないよな?」


 途中、何か感じ取ったものがあるのか、神妙な顔つきでマリーがアイリスを見つめる。対して、アイリスは何のことかと首を傾げた。

 そんな中、神官が水時計の確認をする為に歩いて来た。二つの装置を見た後、神官はメイスを掲げる。すると、白い光の球が天井高くに上って行った。

 しばらくすると天井に光が当たり、魔法陣が出現する。遅れて、教会の外から鐘のなり響く音が聞こえ始めた。


「へー、そういう仕組みなのか。魔法で鐘を鳴らすっておしゃれだな」

「きっと、同じ大きさの音で街中に聞こえるようにする術式とか、いろいろ組み込まれてるんだろうな……」


 鳴り響いているのは正午を知らせる鐘の音だった。寺で聞くような重い音とは正反対の甲高い澄んだ音。

 心が洗われるような気持ちでいた勇輝だったが、ふとあることに気が付く。


「なぁ、フランって午後から合流だったよな?」


 勇輝を含む四人の動きが止まる。

 聞こえてこないはずの水時計の音が聞こえる気がするほどの沈黙。


「やばいな。迎えに行かないと」

「多分、最初の待ち合わせ場所にいるか。それとも、さっきの露店の片付けをしているか。もし、待ち合わせ場所で会えなかったらマズいことになるな」


 この王都で待ち合わせをせずに出会おうとするならば、かなり苦労をするだろう。もしかすると、夜になるまで会えなくなる可能性すらあり得る。

 勇輝たちは教会から足早に出ると、フランのいた露店の場所に向かって駆け出した。


「因みにソフィの方は?」

「そっちは大丈夫。これがあるからな」


 マリーが取り出したのは青い石。一見すると、ただの綺麗な石だが、勇輝はそれが精霊石だと気付く。


水精霊(ウンディーネ)だった頃の技は一通り使えるらしくてな。これでソフィとは連絡が取れるんだ」

「あぁ、そういえば俺も持ってたっけ。日ノ本国ではほとんど繋がらなかったけど、これだけ近い場所なら使えそうだな」


 可能ならば全員分の精霊石があれば、携帯電話代わりになりそうだと考える勇輝。だが、そんなことの為にソフィに力を使ってもらうのは、流石に人としてどうかと口から出かかった言葉を飲み込んだ。

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