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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第28巻 愚者の斧と見掛け倒しの斧

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団欒Ⅴ

 メインストリートを歩いて数分。

 ちょうど話題に出していた人物を見つけ、その側まで近寄って行く。


「よう、フラン。調子はどうだ?」

「マリーさんですか。えぇ、おかげさまでばっちり稼がせてもらってます」


 深紅の瞳をこれでもかと見開いて、両手で目の前の商品を見せるフラン。

 一つは紙袋に入れられた焼き芋。もう一つは串に刺さった焼き鳥だ。


「商会ギルドでこの路地を封鎖して、露天商として食べ物屋を出したんです。メインストリートは人通りが多いですから、食べ歩きができる方が都合良いんですよね」


 並んでいる商品を見て、勇輝はどこか懐かしい気持ちになった。


「どちらもマリーさんの家の料理人さんから教えてもらった日ノ本国のレシピです。夏は冷たい物、冬は暖かい物で攻めるのは飲食業界の定石。どちらも簡単に燃えるので、ゴミの処理も楽です!」


 その場で食べる人は店で回収。食べ歩く人は自前の魔法で燃やしてもらう。

 総胸を張るフランだが、勇輝としては少しばかり不安になる。


「面倒臭がって、その辺にごみを捨てる奴が出始めたら、いろいろなところから文句が来そうだな……」

「それは商会ギルドの偉い人たちにも指摘されました。今回は試験運用ということで、上手くいくようなら、串や袋の回収ボックスの設置をして、こういう店をギルドとしても増やしていこうという話です。今回は隣の店の協力もあるおかげで、在庫や保管を気にする必要もありません」


 フランの視線を追うと、そこには肉料理専門店の看板があった。


「必要な食材を、その都度、店から補充。満員でも、物が売れるから、楽? 新しいスタイルだね」

「アイリスちゃんの言う通り。これからはテイクアウトにも力を入れていく時代です。観光シーズンならば、よりお客さんも集まって収益がすごいことになります。というか、なってます!」


 冬にも拘わらず額に張り付いた金髪を手の甲でどかし、満面の笑みを浮かべるフラン。


「――――とはいえ、流石に自分一人でやり続けるにも限界があります。今日の午後から明後日までは完全にオフなので、後でよろしくお願いしますね!」

「フランさん、あんまり無理はしないでね? じゃあ、私たちもここで買って食べながら店を回る?」


 桜の提案にアイリスはすぐに財布を取り出した。


「当然、全種類制覇!」

「忘れてたけど、アイリスって大食いだったな」

「成長期、と言って欲しい」


 フランは素早く焼き鳥と焼き芋を揃えると、それぞれを袋にまとめていく。


「焼き鳥の袋は一時間まではタレが染み出るのを防ぎますが、それ以上は無理なので気を付けてください」

「任せて。それまでに、食べきるから」


 受け取ったアイリスは嬉しそうに受け取って、早速、焼き鳥を取り出した。

 冬の冷たい空気の中に混ざる香りが、食欲を刺激する。


「あたしは焼き鳥。これとこれを一本ずつ」

「私は焼き芋を一つ」

「じゃあ、俺も焼き芋を。昼に響きそうだから小さめので」


 それぞれの注文に元気よく返事をして、手際よく袋詰めにしていくフラン。

 すると、勇輝たちの購入する姿が興味を引いたのか。道行く人たちの中から、勇輝たちの後ろに並び出す人が現れた。


「どうやら、この後も忙しくなりそうだな」

「はい。おかげで商会の再建にまた一歩近づけます。尤も、父さんたちとは違って、飲食方面に偏っている気がするのが心配ですけど」

「何事もいろいろな経験をしておいた方が後で役に立つから良いと思うよ。じゃあ、午後にまた」


 硬貨と商品を交換しながら、勇輝はフランに応援の言葉をかける。微笑んだ彼女は、後ろに並んでいた冒険者の一団へと対応をし始めた。

 勇輝は袋の中から焼き芋を取り出すと、そのまま齧りつく。


「ほふっ!」


 一口含んだ瞬間に、ほくほくとした芋の触感と温かい熱気が口の中に広がる。思わず息を吐き出すと、一気に白い息が空中を染め上げた。

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