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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第5巻 暗黒の淵にて、明星を待つ

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ウンディーネ救出作戦Ⅱ

 閑散とした中庭にユーキたちは集まっていた。各々が使っていた装備に加え、フランがその戦闘方法と重量から算出したアイテムを揃えている。


「ユーキさんとフェイさんは前衛で動き回るので、身に着ける物は必要最低限にしました。それ以外は、戦闘時にどこかにおけるように、こちらの袋に入れておいてくださいね」


 袋の中に詰めていくのは食料類や着替え、予備の武器などの戦闘時には必要ない物。逆にすぐ取り出せるものには短剣といったサブウェポンから、ポーションに煙玉など。特にユーキの目を引いたのが、何の変哲もない石だ。


「これは?」

「あぁ、それは私の方で用意させてもらいました。雑多な魔力の籠った石です。通称、『爆破石』」


 物騒な名前にユーキは摘まんでいた小石をそっと袋の中へと戻す。


「いやいやいや、結構ダンジョンに行く人にとっては必需品ですからね」

「そうなのか?」

「まぁ、騎士団ではあまり使わないけどね。どちらかというとマリーたちの方が詳しいんじゃないか?」


 そう言ってフェイがマリーへと視線を送ると解説を頼まれたことが嬉しいのか、マリーはユーキの袋に手を入れて先程の小石を数個摘まみ出す。そのまま、片手でお手玉しながらマリーは胸を張って説明する。


「魔力っていうのは色々と使いどころがあるんだけどさ。基本的に魔法を使う時は、単一の属性で使うから、こういう色んな魔力がごちゃ混ぜになっていると使ってもあまり意味がないんだ。自分の魔力だけを込めてるやつがあれば話は別だけどな」


 ――――そんなもの用意してる時間はなかったしな。


 マリーが苦笑しながら動きを変える。お手玉していた石を今度は両手でやり始めると小石が僅かに光り始めた。


「そこで、だ。『魔力(マナ)自体は溜まっているから全部使えないだろうか』ということで編み出された方法がこいつだ」


 マリーが小石たちを全部掴んで空中へと投げると頂点に達したと同時に爆発を起こす。


「こいつの良いところはな。込めた魔力(オド)が侵食されずに済むどころか、中にある魔力(マナ)を通常以上に励起させた状態になるんだ。レオ先生が言うには、こいつを超励起状態っていうらしいぜ」

「それで、こんな爆発をね」


 いきなりの爆発に驚いたユーキは片耳を押さえながら頷いた。ユーキ以外はどうなるか分かっていたらしく、すぐに耳を塞いでいたので、特に顔を顰めていない。


「なるほど。俺のガンドみたいなものか」

「ユーキさんのと一緒にしちゃうと少し見劣りするかなぁ」

「逃げるときに煙玉と一緒に使ったりすると、敵が複数の時は同士討ちを始めることもある。撤退時はオススメ」


 ユーキは言われて、袋の中を見ると白煙を発生させて視界を塞ぐ通常の煙玉。刺激臭を発生させて鼻の利く獣専用の臭い煙玉。そして、毒草が練り込まれた対生物用の毒煙玉の三つが目に入った。


「とりあえず、何かと一緒に投げると助かる確率は上がりそうだな」

「まぁ、実際は混乱して的確に投げるどころか、選ぶこともできないからな」

「慣れてくると触っただけで、どの種類かわかるようにコーティングがされているというけれど、僕にはわからないかな」


 フェイも三つの玉を指で擦ってみるが、その特徴をうまく表現できないでいた。ユーキも肉眼で見える色の違い以外はまったく判断が付かず、感触を確かめてみたが判断ができていなかった。


「使い慣れていない物は逆に良くないって考えもあるけど、フランがそこまでいうのなら、きっと役立つ場面があるのかもね」

「もちろんです。私の集めた情報に嘘はありません。まぁ、私も使ったことがないので何とも言えないんですけど」

「それ、一番信用無くすから、次からは絶対やらない方がいいよ」


 フランが空笑いを浮かべる中、ユーキは一抹の不安を胸に小石と煙玉各種を革袋へと仕舞った。

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