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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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ホワイトアウトⅣ

 勇輝はため息をつきたくなるが、ふと、赤い光の色が変化したことに気が付いた。


「(今、色が薄くなった?)」


 光量が変化したのではなく、明らかに色が変化した。そのことを不審に思った勇輝は、自分も同じように火魔法を放ってみる。


「『燃え上がり、爆ぜよ。汝、何者も寄せ付けぬ一条の閃光なり』」


 急に詠唱をしだした勇輝にトニーは慌てて入口から離れる。勇輝は極小の魔力を籠めた火球をガンドの要領で、目標へと火球を放った。

 着弾して、空中に火の粉が舞い散る。同時に赤い色がより濃く、鮮明に輝き始めた。


「当たりっぽいですね。俺の魔眼に映った色が少し変わりました。多分、あの上に火が存在することが発動条件なのかもしれませんね」

「おい、ちょっと待て。火ってことは、これか?」


 ハリーが取り出したのはカンテラ。そこからは魔法石から穏やかな光が漏れ出ていた。


「魔法石の光って、火属性なんですか?」

「厳密には違うが、出力が上がると炎が灯ることもあるっすね。そんなこと、滅多にないっすけど」


 トニーはランタンをハリーから受け取りながら、もう片方の手でロープが結ばれていることを確認する。


「じゃあ、いっちょ、あそこまで行ってきますか」


 そう言うや否や、トニーは部屋の中へと足を踏み入れ、あっという間に目標地点まで到達した。すると、勇輝の魔眼には薄くなり始めていた赤色が再び濃くなっていくのが映る。


「どーだ?」

「良い感じです。少しずつ色が濃くなってます」


 勇輝は部屋の中に少し足を踏み入れながら、他に何か変化が無いかを探す。

 しかしながら、何かが動く様子も無ければ、現れる様子もない。スノーマンも近くには存在せず、ただただ雪原が広がるだけの空間だった。


「何も……起きないな」


 拍子抜けした声が勇輝の後ろから響く。トニーが掌の上に火球を出すが、それ以上の反応は見られなかった。

 時間が経過するにつれて、いたたまれなさと焦燥感が勇輝を襲う。


「(くそっ、今日までにこれを解決するって宣言してたけど、全然、上手くいかないじゃないか)」


 明日は桜と一緒に過ごすと約束をした。ハリーたちは、それを構わないと言ってくれていたが、それでも何とかしたいという気持ちは変わらない。それが例えただの自己満足であったとしても、だ。

 爪を掌に食い込ませていると、唐突に心刀の声が頭の中に響く。


『――――おい、さっきまでの冴えた頭はどこに行ったんだ? 女のことばかり心配して、お花畑にでもなっちまったか?』

「(五月蠅いな。何か良い案でもあるのかよ?)」

『良い案かどうかはわからねえが、俺なりに一つやってみてもいいんじゃないかって、やり方が一つある。まぁ、危険だからオススメはしないがな』

「(もったいぶるなよ。何を思いついたんだ?)」


 勇輝が急かすと、心刀は笑いながら告げた。


『ダンジョン内のアイテムにギミックを解く鍵がある予想。ランタンでお前の魔眼に色の変化が見えた事実。この二つを考えると、今やっている行為は間違っていない。じゃあ、何が足りないかと言えば、火力だよ火力』

「(……火力?)」

『あぁ、考えてもみろ。あのランタン、ただのランタンじゃなくて、このダンジョンの仕様に特化したランタンだとすれば、まだ発揮されていない効果があるじゃないか』


 心刀の言葉に勇輝は、そんなものがあったか考える。ハリーたちからは灯りにもなれば、種火兼着火剤にもなると聞いていた。だが、心刀の口ぶりからするにそのことではないらしい。


「悪いな。どうやら変化はないみたいだ。お前には長々と付き合ってもらって悪かったが、明日はガールフレンドとのデートがあるんだろ? 今日は早めに切り上げて、終わりにしておこうか。休息日が近付くと雪も降り始めるから、風邪をひかないよう体調は――――」


 ハリーの言葉を聞いた瞬間、勇輝は雷に打たれたかのような衝撃が走った。

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