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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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降って湧いた休日Ⅲ

 逆にアイリスは興味をもったようで、マリーを避けてじっと刀を見つめる。


「インテリジェンス・ウェポン?」

「意志を持った武器の総称だな。この場合は、インテリジェンス・ソードの方が、より正しいけど」


 アイリスはより近くで見ようと体を乗り出すが、マリーの手によって元の位置に戻されてしまう。


「ふーん。つまりは喋る剣で、いつでも鞘に戻って来れる能力がある、と。別に呪われているとかじゃないんだよな?」

「あぁ、そんなわけ――――いや、やっぱ呪われてるわ。こいつ」


 忘れかけていたが、夢や幻で今まで戦った相手を見ることがある。慣れてしまったせいか、一応、そのカテゴリーは呪いの一種だったことをすっかり忘れていた。


『安心しろよ。流石に、仲間がいるところでは、無駄にそんなもの見せるつもりはないからな』

「逆に言うと、必要なら見せるってことかよ」

『さぁ、どうだろうな?』

「刀の癖に、相変わらず偉そうな奴だな」


 中指の関節で軽く小突きながら、勇輝は苦笑いする。その幻や夢のおかげで自分の技能が引き上げられた。それで生き残れているという事実もあるため、感謝している部分もある。


「さて、歓談中悪いが、少しいいかな?」


 レオが立ち上がり、右手にチョークを持った。勇輝が返事をすると、黒板に彼は文字を書きこんでいく。


「転移、と一口に言ってもその形態はさまざまである、と俺は考える。一般的に言われているのは、瞬間移動系。或いはゲート系だ」

「ゲート、ですか?」

「あぁ、本人と移動先までの距離に関係なく、場所が切り替わる。ドアを開けば、そこには別の世界が広がっていました。そういった類の物だ」


 更にレオは一つ、二つと書き出していく。


「似たような物に高速移動系がある。これは読んで字の如く、俺たちが見えない速度で移動をしているという考えだ」

「でも、そんなに速く動いたら、その進路上にいた人が吹っ飛ぶんじゃ?」


 吹っ飛ぶどころか、ほぼ確実に死ぬだろう。音速で数キロの鉄の塊がぶつかって生きて居られるのならば、もはやそれは人ではない。


「んー、それにもいろいろあってな。解決する手がないわけじゃない。転移する物質の形を別のものに変化させるとか、な。まぁ、それは説明が面倒だから、放っておく。一番、ややこしいのが、次の『概念系』だ」


 ぼさぼさの金髪が搔きむしられることによって、さらに爆発的なものへと変化していく。それを気にすることなく、レオは勇輝に告げた。


「これは『そういうものだ』としか言えない。世界、神様が定めたルールのような物だ。『どんなに腕力が足りなくとも、投げれば必ず敵に当たる』。『当たれば、必ず対象は死ぬ』。そう言った決まりだ。どんなに俺たちが魔法を研究しても、解明できない壁でもある」


 チョークを置き、レオは勇輝の心刀を指差した。


「君のそれが転移する際に、俺の魔力で覆ってみたが、わずかに魔力への干渉を感じた。ただ、残念ながら、そこから先を推測するだけの時間も材料も不足している。悪いが、俺が伝えられるのはここまでだ。何か思いついたら、話せることが増えるかもしれないな」

「そうですか。ありがとうございます」

「あぁ、最後にだが、これは転移魔法に関わるのならば、俺からの課題として、一つ問題を出しておこう」


 思い出したようにレオは勇輝にニヤリと笑みを浮かべる。それは悪戯心と言うよりは、好奇心に満ちた何かであった。


「物が転移した時、動いたのは物か、それとも世界か。一体どちらだと思う?」

「そんなの決まってんじゃん。勇輝の刀だろ、動いたのは」

「まぁ、そうなんだが。俺が言いたいのはそこじゃないんだよ」


 レオは苦笑いしながら、背後の黒板の文字を消していく。

 勇輝はレオの言葉の真意がわからずに顔を顰めた。


「さぁ、他に質問は?」

「あ、じゃあ、私が――――」


 今度は桜が、自分の式神を通して発動する魔法に関して、質問を始める。魔法基礎理論の授業の教授であるが、個別の魔法技能相談会の様相を呈してきていた。

 そこから、約二時間ほどのやり取りを行った後、机に突っ伏したレオに感謝して、勇輝たちは教室を後にした。

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