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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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スノーマンⅣ

 二人に案内されて辿り着いたのは、辺り一面、白銀の絨毯が敷き詰められた巨大な部屋であった。


「ひろっ!?」

「大体だが、あっちに辿り着くまでに五百メートルほどある。恐らく、この階層で最も巨大な部屋だ」

「もしかして、ここも雪があるということは――――」

「当然、ホワイトアウトが起こる可能性はある」


 二十五メートルの規模で遭難者がでかねないのだから、この部屋でホワイトアウトに巻き込まれれば、位置によっては絶望的だろう。しかし、勇輝は同時にあることに気がつく。


「この階層で一番大きいってことは、ボス部屋だったり、次の階層に繋がっていたりする可能性が高く無いですか?」


 ゲームでは大抵、大きい部屋はボス部屋か雑魚敵がたくさんいる部屋と相場が決まっている。また、階層を移動する階段は奥にあるか、ボスを倒した先にあることも多い。

 ただ、暗殺者ギルドもそこは考えなかったわけではないらしい。


「俺らも頑張ったんすよ? 縄を括りつけて、この部屋の中を歩き回ったり、敵を殲滅してみたり……。でも、階段の『か』の字も見当たらなかったんすよ。その時の疲労感と言ったら――――それさえなければ、かわいこちゃんとデート出来てたはずなのに」

「あ、それトニーさんの実体験なんですね?」


 やけに感情が籠っていると思ったら、どうも前線に出されたのはトニーのようであった。冷静に考えれば、無詠唱でスノーマンを掃射できる彼は、このような場面において重宝するのは明らかだ。尤も、それを本人が望むかどうかは別問題だが。


「えっと、ちょっと待ってください。この部屋がここにあることを知っているということは、毎年、ダンジョンの内部でも、この部屋は変化していないってことですか?」

「あぁ、そうだ」

「じゃあ、一度、クリアした人が次の年も同じようにしたら、簡単にできちゃうじゃないですか。何で、それが起こっていないんですか?」


 やり方さえわかってしまえば、毎年、レアアイテムを手に入れることができる。そんなチャンスを放っておくほど、人は無欲ではない。それを指摘すると、ハリーは長い沈黙の後にトニーへと視線を向けた。


「いやー、兄貴。ここまで言われちゃ、黙っておくのは無理っすよ。この兄ちゃん、こっちの痛いところビシバシ突いてきますもん」

「そうだな。流石に黙ったままでは先に進まないか。情報を開示してこそ、見えてくるものもあるかもしれんしな」


 相談が終わると、二人は周囲に誰もいないことを確認して、勇輝に向き直った。


「最奥で手に入るであろう指輪。それを俺たちが探している理由はただ一つ。それを身に着けた奴は一年以内に死ぬからだ」

「死、ぬ?」

「あぁ、最初に指輪を見つけたと手記を残した男も、それを受け取った女も一月もしない内に亡くなった。女は自殺で、男は死因不明。記録が残っている限りでは、他の指輪の発見者も亡くなっているが、その多くが片方が自殺で、もう片方が原因不明の不審死だ。昔の記録だからアテにできない部分もあるけどな」


 恐ろしい事実を前に勇輝は固まってしまう。

 今までそれをわかっていながら、何故公表しなかったのか。誰かが死ぬ可能性があるのに、それを黙ったまま犠牲者が出るのを見過ごしていたのか。勇輝が驚いていると、トニーはため息交じりにぼやいた。


「上の考えることもわかるんすけどね。指輪の入手法だけは何としてでも確立して、安全の確保をしたい。でも、呪いのアイテムだと公言すれば、少なからず入って来る人は減る。試行回数が必要な以上、それは仕方がないってね」

「一応、冒険者ギルドの方も安全策は用意していないわけじゃない。ここのダンジョンで手に入れた物は、必ずギルドに一度提出を義務付けられている。聖夜のダンジョンにおける宝箱の中身を纏めることで、他のダンジョンの宝箱の推測に活かすという名目でな」


 それでも、秘密裏にアイテムを隠して、持ち帰られた場合は追及できない。そのような抜け道はいくらでも用意できてしまうことは、容易に想像がついた。

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