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スノーマンⅡ

 ゲームセンターに置いてあるガンシューティングゲーム。あの類のゲームは画面に出現する敵に対して照準を合わせ、引き金を引き、適切なタイミングでリロードをする。物によっては、敵に撃たれる前に倒したり、怯ませたりする必要がある種類もあり、時には物陰に隠れるという動作ができるものもある。

 それと同じように勇輝たちは一方的に敵を殲滅することにした。


「なるほどね。下手に中に入らずに、ここから狙い撃つ、と」


 部屋の入口まで来た勇輝たちは、入口の壁の両脇を盾にして半身になった。一歩踏み出すだけで、部屋の半分以上が射程圏内に入る。


「敵の足が遅く、遠距離攻撃しかしてこない。そして、数が多い可能性があるなら、無闇に中で戦うより安全だと思ったんですが……」

「いや、いいんじゃないすか? 俺は一人で突撃してまとめて吹き飛ばすのが好きだけど」


 指輪をアピールするように両手を振るトニー。魔法を専門にして、杖ではなく指輪を十個着けているところを考えると、彼の言葉は嘘ではなく、本当にできることなのだろう。

 その戦闘を見てみたい気がしなくもないが、それはハリーに止められてしまう。


「ばーか。それでいつも後半は魔力切れになりかけて、周りに迷惑をかけているんだろうが。節約することも覚えろ」

「うわー。俺たちに一番合わない単語だ。兄貴、それだけはないっす」


 トニーが顔の目の前で手を横に振る。

 ニヤニヤと笑っていた彼だが、ふと勇輝に投げかけた視線は鋭く、獲物を狙う猛禽類のような目だった。


「その提案をするということは、詠唱なしのガンドにも連射限界があるってところか。しかも、次の発射までには少し時間がいると見た」

「(この人、今の会話でそこまで!?)」


 軽薄そうな見た目とは裏腹に、勇輝の見たこともないガンドの弱点を見破った。その事実に、勇輝は目を丸くする。

 対して、トニーは真面目な顔を一気に崩し、くねくねと腕を動かして笑う。


「そんな警戒なさんなって兄ちゃん。でも、忘れて貰ったら困るけど、俺も一応、組織の一員なんだぜぇ」


 勇輝がごくりと唾を飲み下すと、トニーの後ろに控えていたハリーが頭を叩いた。


「下らんこと言ってないで、さっさと進むぞ。お前も、色々と急がなきゃいけない理由があるんだろ?」

「――――っ! はい!」


 可能な限り探索を早く終わらせて、桜の下へと帰る。それが今日からの勇輝の目標だ。タイムリミットは、午後四時半までにダンジョンを脱出すること。それは他の二人も了承してくれていた。

 理由としては、夜になってから活動する冒険者たちと昼から活動していた冒険者たちが入り混じり、ダンジョン内が混雑するからという理由だ。


「(家族の為に定時帰宅をしようとする人たちって、こんな気分――――なのか?)」


 戸惑いながらも勇輝は右手の指先に魔力を貯めて、入口から中を覗き見る。勇輝のいる場所から見えるスノーマンの数は二十体ほど。それをトニーに伝えると彼の視界には、同数くらいの個体がいると返って来た。


「俺の連射限界は六発です。周囲を巻き込む方法もありますが、燃費が悪いので一体ずつ確実に行きます」

「オーケー。じゃあ、俺も兄ちゃんに合わせて火力を抑えめ、一体ずつ確実に行くっすよ。それじゃあ、カウントダウン開始、三、二、一――――ぶちかませ!」


 勇輝が立ったまま入口から身を乗り出すと、トニーはそれを邪魔しないように少し屈んで腕を出す。勇輝を真似しているのか、銃の形を指で作り、横倒しにしたままスノーマンを狙撃していた。

 勇輝の魔眼に己の放つ青い閃光とトニーが放つ赤い閃光が映る。弾速は圧倒的に勇輝が上、連射力と継続力はトニーが優勢だ。本気を出していないところを見るに、射撃性能だけで比較するなら、トニーに軍配が上がるだろう。


「(そんなに魔力を籠めないで済むから、装填時間も短い。これなら、すぐに一掃できるな)」


 その予想通り、一分も経たずに部屋の中のスノーマンを殲滅することに成功した。

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