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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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聖夜のダンジョンⅤ

 つまり問題なのは、その後に何かしらの事件が起こったということだろう。勇輝が恐る恐る聞いてみると、ハリーは口を噤んだ。もう一度、周囲を見て人影の有無を確認した彼は、ようやくその口を開く。


「ここから先は機密事項だ。だから、先に言っておく。もし指輪を見つけても、絶対にそれを嵌めてはいけないし、嵌めさせてもいけない。可能ならば欠片も残らずに破壊する。それが最善だ」


 暗殺者ギルドは、その指輪が危険物であるという認識らしい。協力している勇輝にも言えないとなると、当然ながら一般には知られていない何かがあるのは明らかだ。

 勇輝はそれを問うことはせずに右手で銃の形を作る。


「俺のガンドの威力は知っていると言ってましたね。では、発見次第、これで撃ち抜いても?」

「あぁ、構わない。俺たちの目的はその指輪の破壊。お前がそれをやってくれるなら、俺たちは何も言わん。二個目が現れるかどうかを今度は検証するだけだ」

「確か、指輪を見つけた人の記録に『攻略した』って残ってるんでしたっけ? もしダンジョンのクリア報酬なら――――」

「あぁ、基本的には一個しか出現しない。俺たちの組織の見立てでは、来年のダンジョン出現までは時間が稼げるという判断だ」


 何かしらの被害をもたらす指輪を、人知れず闇に葬る。その姿に勇輝は暗殺者ギルドへの認識を少し改めた。


「(暗殺者って言っているけど、人を殺すんじゃなくて危険物処理や公安警察とかみたいな立ち位置なのか?)」


 もし後者であるとすれば、彼らがその素性や正体を隠そうとするのも無理はないし、近衛騎士隊長に話が通ることにも納得がいく。

 自分が呼ばれた理由が魔眼だけでなく、魔法を無効化するミスリルの壁を穿つガンドを放てることだったことを勇輝は理解した。


「(最初は怪しい人たちだと思ってたけど、そういう理由なら協力するのもやぶさかじゃない。むしろ、積極的に手を貸してもいいくらいだ)」


 ここで頑張れば被害者を減らせて、お金も儲けることができる。暗殺者ギルドとしては、毎年安定して指輪を処理する必要があり、その為に勇輝にも大金を払った。そのことを考えると、まず最初にやるべきことは、指輪の入手できる場所を特定することになる。


「第一目標は、スノーマンがいるところまで行って、他の階層にいく階段が無いかを見つける、ってことですね」

「その様子だと、俺たちに本気で協力してくれる感じか?」

「えぇ、そちらが本当にこの国の人たちの為に動いているって感じたので、対価を貰っている以上に全力でやらないと、と思いまして」


 その言葉を聞いてハリーは笑みを浮かべて頷く。彼にも勇輝の想いが伝わったのか、右手を差し出して来た。勇輝はそれを迷わず握り返す。


「さて、こんなところで、もたもたしていられないな。とっとと先に進むぞ」

「いつになくやる気満々すね」

「ばーか。普段、日の目を見ない俺たちの仕事を理解してくれる奴がいたんだ。やる気を出さずにどうするよ」


 首を傾けて鳴らしながら、ハリーは不敵な笑みを浮かべる。心なしか、眼光が鋭くなっているような気もした。

 部屋を後にして、まっすぐな道を進む。何度か他の冒険者とすれ違いながら、奥へと進んで行くと、勇輝は肌寒さを感じるようになってきて、腕を擦った。交換したコートにも温度調節の機能はついているはずなのに、何故なのかと思っていると、トニーが呟いた。


「こいつはスノーマンがいるっぽいな。あいつらがいる場所は、こんな感じで寒くなる。温度調節機能がある服が必須になるくらいにはな」

「お二人も、その服を?」

「何だ。兄ちゃんの服もそれか――――って、そういや、さっきロジャーの爺様にコートを交換させられてたな」


 トニーは人差し指の指輪の宝石部分を指の腹で擦りながら、首を傾げる。どうも勇輝とロジャーの接点がわからず、気になっているらしい。

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