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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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合流Ⅲ

 コルンは羊皮紙に目を通し終えると、それをカウンターから降ろし、勇輝にギルドカードを手渡した。


「ありがとうございました。少しばかり冒険をしている気配がありますが、無事に帰って来れたことを改めてお喜び申し上げます」

「は、はい。今後ともよろしくお願いします」


 勇輝は居た堪れない気持ちになりながらも頭を下げる。


「さて、それで早速なのですが、勇輝さんに指名依頼が入っております」

「え、俺にですか?」


 暗殺者ギルドの男からギルドで待てと言われたが、まさか堂々と指名依頼をしてくるとは思わなかった。表に出れないとは一体何だったのかと疑問に思っていると、コルンが羊皮紙を勇輝の前に差し出した。


「依頼主はロジャーさんです。お心当たり、ありますよね?」

「――――あ゛っ!」


 名前を聞いた瞬間、勇輝の脳内にある約束が過ぎる。

 ロジャー・ハイド・ウォラストン。魔術師ギルドの副会長にして、高名な錬金術師である一方で、ヘンテコな物作りおじさんとしても名高い男だ。

 勇輝の着ているコートの制作者でもあり、彼のおかげで常に命も懐も助けられていると言ってよい。

 そんな彼と勇輝にはある約束があった。それはコートの改良を行うというものだ。可能ならば日ノ本国に出国する前に一言話してから行きたかったのだが、急なこともあり、別れを告げることなく王都を旅立ったのは記憶に新しい。


「ふむ、その反応を見るに、完全に忘れていたわけではなかったようだな? 若造」


 勇輝は故障しかけたロボットのようにゆっくりと背後を振り返る。

 そこには細身の男が笑顔で立っていた。短い金髪の下には細いがくっきりと皺が刻まれ、これでもかと言うくらい眉を上げて、わざとらしく最高の笑みを作ろうとしているのがわかった。


「あ、あの、これには色々と訳がありまして……」

「あぁ、そうとも、海よりも深く、山よりも高い理由があったのだろうさ。だがな、私には関係ない! さっさと、その服を寄こせ!」

「わわ!? ちょっと、それは無茶苦茶な! この後も依頼に行く予定なんですよ!?」

「改良に数日かかるだけだ。それまでなら依頼の一つや二つくらい、どうにでもなるだろう!」


 ロジャーは勇輝相手に一歩も引かず、その老体のどこにそんな力があるのか、勇輝の皮鎧を引き剥がそうとしてきた。流石に怪我をさせるわけにはいかないので、勇輝は為すがままとなり、床へと転がされてしまう。


「ほれ、温度調節の機能だけはついている代替品だ。さっさと脱がんか」

「わ、わかりましたよ……」


 勇輝は観念して、床に胡坐で座ったままコートを脱ぎ始める。ロジャーの大声に周囲の冒険者たちも何事かと思ったのだろう。カウンターに並ぶ人たちはもちろん、二階から降り注ぐ視線が突き刺さる。

 顔が赤くなるのを感じながら、勇輝はロジャーへコートを手渡した。すると、その頭に代えのコートが被せられる。


「確かに受け取った。出来次第、彼女に預けておく。楽しみにしていろ。あっはっはっ!」


 改良することが余程楽しみにだったのだろう。高笑いをしながら、足取り軽く去って行ってしまった。


「相変わらず、嵐みたいな人だな」

「能力がある人は、良くも悪くも一癖、二癖をお持ちと言いますから。仕方のないことでしょう」


 勇輝の後ろで、コルンは笑みを崩さずに両耳をしきりにパタパタと動かしていた。


「それで? 他にもあんな感じの話が舞い込んできてる感じですか?」

「いえ、残念ながら、そう言ったお話は彼だけのようです。まぁ、勇輝さんからすると、その方が嬉しいみたいですね」


 ほっと胸をなでおろした勇輝を、にこやかに見つめる。そんな彼女は、勇輝の羊皮紙を差し出した。立ち上がりながら、それを受け取ると聞き覚えのある単語が並んでいる。

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