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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第27巻 撫子に染まりゆく精霊の休息日

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出国Ⅷ

 ケアリーは勇輝たちの姿を見て、向き直る。


「そう言えば、しっかりと礼を言えてなかったな。護衛の任を引き受けてくれたこと、感謝する」

「そのことなんですけど、もうファンメル王国に到着してしまったように思えるんですが……」


 勇輝の言葉にケアリーは迷わず頷く。


「あぁ、申し訳ないが、それは表向きの理由でな。君らには伝えていなかったが、保護者である二人には説明をさせてもらって、許可を貰っている。重ねて、申し訳なく思う」


 ケアリーは頭を深々と下げた。

 流石に、騎士団長が直々に謝罪すると思っておらず、勇輝も桜も慌てて顔を上げるように告げる。


「すまない。この件に関しては、本国の『ある責任者』から緊急で回ってきた話なのだ。どうしても解決しておきたい問題があるのだが、その解決に君の能力が適している可能性が高い。我々は全力で君たちの安全を確保することを条件に、保護者にこの件を頷いてもらった」

「そ、その事件と言うのは何なんですか?」


 桜が問いかけると、ケアリーは僅かに表情を歪ませた。


「この件はファンメル王国でも極秘の内容になっているため、関係者以外には口外するなと『責任者』に言われていてね。協力を要請するのは……彼だけだ」


 ケアリーは桜には協力を要請していないという。

 あまりにも失礼な物言いであったが、桜の反応は意外にも冷静だった。


「勇輝さんへの指名依頼、ということですよね? その条件の中に私の保護も入っている、と?」

「あぁ、その通りだ。巫女長とやらが言うには、その方が都合がいいだろうと言っていたな。正直、詳細を知る私でも何のことかはわからなかったが」

「巫女長様がおっしゃるなら、私はそれに従います。でも、勇輝さんを危険に晒すのだけはやめてくださいね」

「もちろんだとも。それは近衛騎士団長の肩書の名の下に保証しよう」


 力強く頷くケアリーであったが、桜は視線を勇輝へと移す。


「私が一緒に行けないことは納得できたけど、勇輝さんは大丈夫?」

「うん。大丈夫だけど、内容次第かな。まぁ、ひい婆ちゃんも広之さんも頷いたってことは、危険度が高くなさそうだし」


 ある程度の内容ならば、何とかなるだろうと楽観的に感じている勇輝。

 そもそも、勇輝の魔眼の能力を完全に把握している人はいない。出回っていたとして、そのほとんどが物の性質によって見える色が変化する程度だろう。

 一応、その能力を理解しているだろう存在もいるのだが、その情報が流出しているとは思えない。


「(何かの仕分け作業か、それとも毒の発見とかか? でも、緊急で連絡をするってことは、結構急いでいるのかな?)」


 アメリアが転移魔法を使ったのも、それが理由かもしれないことを考えると、かなり火急を要する件なのだろう。

 船が港へと近づいていく中、だんだん階段を上がって並び出す兵士が増えていく。


「この件は『責任者』から、王都に到着後、速やかに連絡が行くと思われる。それまでは待っていてい欲しい」

「わかりました。では、その人の説明を聞いてから、依頼を受けるか決めたいと思います」

「ありがとう。仮に断ったとしても、何かデメリットがあることはないので安心してほしい。では、私は彼らをまとめる必要があるので、これで」


 そう告げると、ケアリーは落ち着いた足取りで集まった兵たちの前へと進んで行った。その背を見送って、勇輝は近付いて来る陸地へと目を向けた。

 ここから数日かけて、王都へと向かう。その最中に襲撃や事件の発生も十分にあり得る。むしろ、今までの流れ的に何かが起こらないはずがない。

 アメリアのおかげで海での事件は回避できたかもしれないが、警戒を怠ってはいけないと自身に言い聞かせる。


「王都に着いたら、別行動になるかもしれないな」

「あまり無茶はしないでね。勇輝さん、すぐ無茶するんだから」

「それは――――善処、します」


 即座に否定できなかったことに肩を落とすと、桜がそれを見て笑う。

 そして、港に着いてから数十分後、勇輝たちは再びアメリアの転移魔法で移動することになる。その行先は当然と言うべきか、ファンメル三世が待つ王城の庭であった。

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