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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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除霊Ⅷ

 十秒ほど続いた発光現象は、休息に光を失い、最後は細い糸のようになって途切れた。夜の闇が舞い戻り、冷たい風が勇輝たちの頬を撫でる。


「……今のは?」


 桜がやっとのことで絞り出したのは、疑問であった。


「強力な結界が張られたみたいなんだな。でも、そうなるとアレを発動したのは――――」


 丑式が一瞬考える様子を見せるが、継司はそんな彼女の言葉を待たずに桜の結界を出た。幾分か落ち着きを取り戻したようで、刀を鞘に納め、表情も穏やかになっている。


「百聞は一見に如かず、と言います。向かって確認するのが一番早いし、確実でしょう」

「でも、この人たちはどうすれば?」


 足元に折り重なるようにして倒れ伏している村人たち。しっかりと胸は動いているのが暗くても確認できるので、死んでいないのは間違いない。尤も、このままならば間違いなく風邪を引くのは目に見えている。


「自業自得という部分がないわけではないんだな。嬢の式神を残して結界を維持したまま、寺に向かえば何かあっても被害は最小限に出来るだよ」

「そ、そうだね。じゃあ、結界を張り直すから少しだけ待って」


 寛太の下から駆け付けた式神は、怨霊の余波で紙へと戻ってしまっていた。桜は人型の紙を取り出すと、素早くそれをチビ桜へと変化させる。

 さらに長方形のお札を何枚か取り出して結界を構築し、残った札をチビ桜へと預けた。


「予備のお札も渡したので、何回かは防げると思う。でも、私自身が結構消耗しているから、そんなに長くはもたないかも」

「大丈夫だよ。とりあえず、あの怨霊は姿を消したみたいだし。万が一、ここで何か起きたら――――俺のガンドで遠距離から仕留めるしかないけど」


 そんな勇輝も残存魔力は、そこまで多いとは言えない。二人ともポーションを飲む暇も無かったということもあり、何かしらの敵が現れたとしても、即座に戦える状態とは程遠い。

 嫌な雰囲気を周囲から感じることはないが、本当に万が一と言うこともあり得る。飲まないよりはマシだと、勇輝も桜も一本だけ、ポーションを飲み干した。

 青臭さが鼻から胃までを満たすが、それを何とか我慢する。頬を引き攣らせながらも容器をしまった二人は、丑式と継司を見た。


「それじゃあ、行くだよ」


 金棒を担いだ丑式が駆け足で寺へと向かい始める。

 勇輝もその背を追いながら、左右を見回した。建物に被害はなく、本来の深夜のあるべき姿のように静まり返っている。


「今の寺から吹き付けた風で、被害が出ないのも凄いな」

「物質的な風じゃあなくて、呪力の暴風だったんだな。対人間や対生物に対しての効果は高いけんど、それ以外の物には何の意味もないだよ。尤も、あの放出は衝撃こそ強かったけんど、四方八方に散らばってるせいで、人を殺すほどの威力にはなり得ないだ。多分、ここから離れていた人たちも大丈夫だと思うだよ」


 死にはしないし、寿命が縮むことにもなり得ない。そう告げた丑式に、勇輝はほっとする。

 そんな勇輝に継司は感情の籠らない瞳を向けた。


「確かに、あの婆さんに騙されたり脅されていたりした部分があったかもしれないですが、この人たちはこの人たちで罪があります。ここでこのまま死んでいた方が良かった、なんてことも考えられますから、そのこと自体は頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう」


 かつての飢饉で、伝令を殺して食った。そして、数十年経過した今も、呪殺の共犯者として過ごしていた。東雲家からすれば迷惑などという言葉では到底、済ませることができない話。

 当然、彼らにこのあと待っているのは、今回の事件とは別に、その始まりの事件の聴取と裁判であることは想像に難くない。最悪の場合、この村自体が忌むべきものとして、取り壊されることもあり得るだろう。

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