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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第4巻 消えた焔は地の底に

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消えゆくものⅠ

 薄暗い地下から解放されたフランは、日光の当る場所で伸びをすると大きく息を吐いた。


「やっぱお日様の下って最高ですね」

「……吸血鬼が言うセリフじゃないぜ」

「別にいいでしょう? 浴びても問題ないんですから」


 くるりとその場で回るとスカートがきれいに広がり、大きな花を咲かせる。マリーが反論しようとすると後ろからリリアンが慌てて追ってきた。


「まったく、いきなり患者を連れ出すとは何事ですか。ましてや日光の下にさらすなど」

「大丈夫です。お腹が空いている以外では、特に問題はありません。むしろ調子がいいくらいです」

「そういう問題ではありません。患者は大人しくして、医師の判断に従いなさい」


 一番近くにいたマリーとアイリスが宥めようとするが、フランの首根っこを捕まえたリリアンは魔法学園の方へと引きずって行く


「あー。助けてー」

「もう命は助けたから、後はリリアンさんの言うことを聞いてゆっくりしてなー」

「そんなー」


 ユーキの声にしょんぼりした顔で項垂れているとリリアンが急に立ち止まった。不思議そうにフランが見上げると思いっきり服を引っ張り上げて立たせられる。


「まぁ、そこまで会話する元気があれば大丈夫ですね。調子が悪くなったら、すぐに来なさい。あと、学園の食堂でご飯を用意してもらってあります。それは必ず食べるように」


 そういうとリリアンは、それ以上何も言わずに歩いていく。

 そのままリリアンを見送っているフランの近くに、マリーがやってきた。


「あの人もさ。いろいろと思うところはあったんだろうな。父さんから聞いたけど、最初にフランを受け入れて、すぐにあの男に掻っ攫われて、ほとんど何もできなかったからさ」

「そんなことが……」


 リリアンの背中にもエドワードと似た影をフランは見た。その悲し気な背中へとフランは思いっきり、大きな声で叫んぶ。


「リリアンさーん。ありがとうございましたー。また、ケガとか病気とか関係なく行きますからねー!」


 一瞬、リリアンが歩みを止めるが振り返ることもなく、再び歩き始めた。その背中には先ほど見た影は見られない。


「とりあえず、フランが助かって良かった、ね」

「終わり良ければすべて良し、です」


 アイリスとサクラがフランの姿を後ろで微笑ましく見ている横で、ユーキが考え込むようにして唸っていた。眉間にも皺が寄り、その眼光は鋭くなっていた。


「ゆ、ユーキさん、どうかしたの?」

「いや、何かおかしいなって、思って」


 魔眼を開いて周りを見渡しても、フランやサクラたちを見ても何もおかしいところはない。フランは救うことができたというのに、心のどこかに穴が開いたような感覚に襲われる。何かを見落としていないだろうかと不安になるが見つからない。


「お前って心配性の癖にいざというとき、真っ先に走り出すから、見ていて怖いよ」


 フェイが冗談で軽口をたたくが、本当にユーキが悩んでいるところを見て黙ってしまう。そうこうしていると、フランがマリーを連れて戻ってきた。


「あの、みなさん。また私のせいでご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありませんでした」

「友達だから気にしない」


 アイリスが言うとサクラが笑顔で、フェイは逆にむすっとしているがにやけそうになる顔を押さえて言う。


「そうそう。だから謝るより、ありがとう、の方が私たちとしては嬉しいかな」

「まぁ、色々あったけど、死なれたら寝覚めが悪かったからな」

「あ、ありがとう、ございました」


 マリーが腕を組んで満足そうに頷いていると、真剣に悩んでいるユーキの顔を見てニヤリと笑った。そんなマリーと視線が合ったアイリスは、何も言うことなく気配を消してマリーへと近づく。


「とりあえずフランさんも助かったし、この後はどうし――――」

「――――至近距離、アイリス砲発射!」

「いぇっさー!」


 その声がユーキの耳元に届くころには、既にアイリスミサイルは発射態勢に入っていた。慌てて、距離を取ろうとするが今までにないほどの近距離からだ。到底避ける暇などない。アイリスの顔があっという間に近づく。


「とぉー」


 相変わらず、やる気のない声と共に飛んでくるアイリスを受け止める。

 しかし、今までと違い身体強化にも慣れていたせいか痛みはほとんど襲ってはこなかった。ノックバックこそしたが、アイリスに押し切られることなく無事に受け止めて見せる。

 むしろ頭突きをしたアイリスの方が痛そうにしているくらいだ。


「む、魔力障壁を張ったのに痛い」

「もしかして、俺の周りの障壁と相殺されたのでは?」

「なるほど……、それでポケットの中に入っているものの、当たった痛さが、直に」


 うずくまるアイリスの頭をマリーがたんこぶができていないか擦りながら確かめる。数秒間、さわさわしていたが、特に問題なさそうだった。

 ユーキの方はというと、確かに自身の胸にも硬い何かがぶつかる感触があったことに気付いていた。何を仕舞っていたのか疑問に思って取り出してみると、そこには数日前よりも輝きが鈍くなった青い石が入っていた。

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