表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2035/2383

丑の刻Ⅵ

 危険を承知で二手に分かれるか、それとも全員で突入して救助を行うか。或いは、村人を見捨てるか。ここにいるメンバーの答えは最初から決まっていた。


「全員で行きましょう。桜が結界を張れる間は活動できるはずです」

「仮眠もとって、魔力も十分です。お札も追加で何枚か作ったので、昼間に見た程度のものなら、十回以上は防いで見せます」


 勇輝と桜の言葉に継司が小さく頷く。


「俺も微力ながら力になります。万が一の時には、俺が何とかします。もしも、結界が作れなくなった時には一声かけてください」

「何か秘策があるのならば、二手に分かれるのも良いのではないですかな?」

「いえ、あくまで一時しのぎ。本職には到底かないません」


 午式の提案を継司は、すぐに首を振って否定する。

 曰く、「一、二回誤魔化すことができればいい程度の児戯に等しい小細工」だとか。あるかないかで言えばマシ程度だと言われ、午式は勇輝に視線を向ける。


「勇輝殿は自分の結界があるんでしたな。周囲の警戒は拙者たちに任せて、呪術のやってくる方向を探すことに注力を!」

「もちろんです。呪詛返しの前の呪いが飛んでくる方角を確実に捉えて見せますよ」


 花火のように呪いがまき散らされる前は、一つの塊であった。それを考えれば、術士が放ってから寛太の所に辿り着くまでは誤魔化しが効かない。それ故に、そこから逆算すれば犯人の位置を見つけ出すことが可能なはずだ。


「仕方ねえだ。こうなったら、全員で固まって移動だけんど、あまり無茶はするんじゃないだよ!」


 その言葉を皮切りに、この場に立っていた全員の雰囲気が変わった。

 体の中に魔力を巡らせ、身体能力を大幅に向上させる。村人を救うのにも、自分たちの命を危険にさらす時間を短くするためにも、可能な限りの迅速な行動が要求されていた。誰もがそれを理解し、同時に階段を跳び下りるように駆け出す。


「勇輝殿。ここから一番近い被害場所は?」

「村の中心から手前二十戸くらい!」

「ひひん。意外と範囲は狭く済んだようですな。逆に寺の方にかなりの量の呪いが、引き寄せられたように思えたのが疑問ですぞ。一体、何に――――」


 午式が僅かに背後の寺を振り返る。そんな中、勇輝と同じように先頭を走る丑式が、少しばかり不機嫌そうに声を飛ばした。


「午式。今は目の前のことに集中するだ! 寺の中は安全だと確認が出来ているだよ」

「ひひっ。わかりました。わかりましたとも。勇輝殿、その建物が見えてきたら教えてくだされ。拙者が全力で中の安全を確認、確保しますので」


 頼もしい言葉に勇輝は笑みを浮かべる。

 そんな最中、勇輝の魔眼に再び黒い靄が一筋空を駆けて行くのが映った。


「また呪いが! 今度も寛太さんの家の――――!?」


 靄がちょうど村の中心まで来た辺りで、唐突に停止した。いや、方向を変えて、勇輝たちの方へと向かって来ていた。


「呪いがこっちに!」

「もうこっちの位置を補足されただか!? 嬢! 結界を!」


 勇輝の驚愕の声に反応して、丑式が桜へと指示を飛ばす。それを受けて、桜は人差し指と中指で挟んだお札を前へと放った。

 本来ならば、花弁のように地面へと舞い落ちるはずのお札は、まるで矢のように勇輝たちの前へと躍り出る。仄かに白い光を煌めかせると、それらが花開くように進む先へ壁となって展開された。

 黒い靄は音もなく白い壁に弾かれて、先程のように上空へと昇り、各地へと飛散していく。


「今度の呪詛返しも変な方向に広がったみたいなんだな。一番近いのは?」

「村の中心に近いのは間違いありません」

「だったら、そっちに行くしかないんだな!」


 金棒を担いだ丑式は、重そうな足音とは真逆で、さらに加速する。その中で、勇輝は僅かに顔を顰めた。


「(今の散らばり方、最初の時とは全然違う方に弾けたな。相変わらず寺の方に向かって行ったのは変わらないけど、村に落ちて行ったのは範囲がさっきよりも狭い?)」


 何か原因があるのかと疑問を抱きつつも、勇輝は丑式と午式に遅れないように速度を上げた。

【読者の皆様へのお願い】

・この作品が少しでも面白いと思った。

・続きが気になる!

・気に入った

 以上のような感想をもっていただけたら、

 後書きの下側にある〔☆☆☆☆☆〕を押して、評価をしていただけると作者が喜びます。

 また、ブックマークの登録をしていただけると、次回からは既読部分に自動的に栞が挿入されて読み進めやすくなります。

 今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ