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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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丑の刻Ⅴ

 寒い夜空の下で待ち続けて数時間。ついに事態が動き出す瞬間が来た。


「――――見えた!」


 勇輝の声に全員が立ち上がる。


「確かに、呪術のいやーな感じが強まっただ。どこからどこに向かったかわかるだか?」

「ここから見て、村の中央やや右くらい。もう一回見れれば何とかなるかも」


 いつくるかわからない流れ星の出現場所を探す様な行為。見る範囲は狭いが、それでも一回目で捉えられたのは幸運だろう。勇輝が目を凝らしていると、桜が声を挙げた。


「寛太さんの家に張った結界に当たったみたい。結界は維持できてるけど、次のが来たら張り直さないと破られるかも」


 やはり、術者の狙いは寛太だったらしい。時間を置いてしつこく狙ってくる辺り、何が何でも殺そうという執念を感じる。


「寛太殿をまた狙ってくるとは、そこまでして知られたくない何かがあるようですね」


 継司がいつでも村に向かって走れるよう、左手を刀にかける。


「そうだ。嬢の結界が弾いたなら、呪いが術士の下に跳ね返るはずだよ。何とかそれを観測できれば、犯人が特定できるだ!」


 丑式の言葉に、勇輝は寛太の家がある方へ視線を向ける。すると、打ち上げ花火のように黒い閃光が上空へと上がる。

 家々の屋根から十数メートル上がった所で、黒い靄の球体が脈動する。


「さぁ、術者はどこに――――」


 勇輝が眼を限界まで見開いて、その行方を見守ろうとする。

 しかし、黒い靄が一際小さく縮んだかと思うと、それらが本当に花火のように弾けてしまった。


「なっ!?」


 弾けた欠片は四方八方に飛び散り、村中の家に墜落していく。それだけに留まらず、勇輝たちの背後にある寺にも向けて、数多の靄が高速で飛んできていた。


「ど、どうしただ!? 何か変なことでも?」

「跳ね返された呪いが、あちこちに飛び散ってます。この寺の方にも――――!?」


 頭上を駆け抜けていく靄を追い、寺の方に振り返る。寺の中へと侵入するかに思われたそれらだが、寺を囲む塀の上空で霧散していった。


「その様子を見るに、跳ね返された呪いが寺の結界で消し飛んだようですね。呪いの認識には鈍いようですが、寺を――――いえ、衆生を救う為の祈りは確かに行われているようです。かなりの呪いが降りかかっていたように感じます」


 継司としては複雑な心境だろう。仮に呪いが寺の中へと侵入していれば、普段からの務めを怠っている悪の巣窟として攻め込むこともできた。

 だが、実際には数多の呪いが一切の侵入を許されることなく、弾き飛ばされている。それは寺で活動している僧侶たちの身の潔白を証明する物に他ならない。


「ひひ、それよりも勇輝殿。今、呪いがあちこちに飛び散ったとおっしゃりましたな? まさかとは思いますが丑式。これは他の住人に呪い返しの被害が及んでいるのでは?」

「否定はできないだ。最悪、村人全員が怪死していても驚かないだよ」


 丑式の言葉を聞いて、チビ桜と交信していた桜が目を開く。


「そんな! ここにいたら、みんなを助けられない!」

「だけんど、ここを離れたら犯人を見つけられないだ。助けに行くなら、せめて二手に――――」

「いや、それはやめた方が良いでしょう」


 継司が丑式の提案を否定する。


「仮に呪いを喰らって生きていたとしても、それを救う為に飛び込めば、敵に俺たちの動きが筒抜けになります。それは即ち、呪術の対象として襲われることを意味しています」

「呪いを防ぐ手段をもっていないと、この中に突入するのは難しいということですね。流石に西園寺家の家臣でも、呪術を相手取って隠密行動をし続けられるのは、かなり人数が限られると思います」


 継司の言葉を受けて、厘が眉根を寄せる。

 呪術の襲撃を掻い潜る自信がないことへのいら立ちが、これでもかという程、表情に現れていた。

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