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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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2021/2387

第二の被害者Ⅴ

 死者を蘇生させる方法が限りなくゼロに近い現状、寛太をここに一人にしたままなのは気が引ける。


「とりあえず、私の式神をここに残していくのはどうかな? そうすれば、何かあった時に対応できると思うし、護符が無くても一時的に結界を張ることはできるから」

「なるほど、それならば時間を稼いでいる間に俺たちがここに駆け付けることもできますね。丑式さん、その道の専門家としては、どう思われますか?」


 桜の提案に継司は頷く。

 現状、打つ手がない以上、さらに情報収集を進めなければいけないのは間違いない。その為には、ここに長く留まるわけにはいかなかった。


「んだ。おらもそれなら反対はないんだな。後は、あっちがどう判断するかだよ」


 そう言って丑式は、項垂れる寛太の方を親指で示す。

 勇輝たちに寛太を保護する義務はないが、助けた以上、最後まで何とかしたいと思うのは当然だ。それ故に、酷ではあるが寛太にある程度のものは許容してもらって動かなければならなくなる。


「あぁ、構わないよ。俺が今、ここで生きていること自体が奇跡みたいなもんだ。それに縋りついて晴久の仇を見逃すくらいなら、俺の命くらい危険にさらされてもいい。……いや、別に死にたいとか、囮になりたいって意味じゃないからな」


 寛太が慌てる横で、桜はお札をさらに取り出して空中へと放る。

 すると白い煙と共に手のひらサイズのデフォルメされた桜の分身――――通称・チビ桜――――が姿を現した。


「はい、では私が今から寛太さんの護衛を務めます。こんな姿ですが、ちゃんと力はあるので安心してください!」

「いや、そこは信用する。式神を扱える陰陽師は優秀で、数が少ないというのは俺でも知っているからな。まさか、嬢ちゃんがそんな凄い子だとは思いもよらなかった」

「え、えへへ、でも、私なんて大したことないですよ。上には上がいっぱいいますから……」


 少しばかり顔を赤くして照れる桜。

 魔法や戦闘とは関わりのない人からの誉め言葉に、気恥ずかしくなってしまったのだろう。勇輝も普段、彼女と接している中で、見ないような表情をしていた。


「さて、ではここはおっ嬢の式神に任せて、拙者たちは情報収取と村の地形の把握に勤しむとしますか。()()()()()()()()()()()()()()()()に何とかしないといけませんな」


 午式の言葉に勇輝は、はっとした。

 寛太が狙われたのは、最初の犠牲者である晴久の友人で、彼が呪殺される理由を知っている可能性があるからだろう。事実、継司に連れられて勇輝たちはここに聞き込みに来た。

 ただでさえ、不審死を調査する開藤家の継司が立ち入った挙句、今度は普段、村を出入りしない勇輝たちも連れて話を聞いたのだ。寛太が何を言っていたか知らなくとも、その事実を知った犯人が寛太を放っておくとは思えない。

 バラしてしまったのなら報復を、バラしていないなら口封じを。そう考えていても全く不思議ではない。

 では、これが長引けば――――その矛先は、勇輝たちに向けられるだろう。

 犯人を捕まえるのが目的だとしても、殺す気で攻撃してきた相手を無傷で捉えるのは難しい。ましてや、それが呪詛返しともなれば、手加減できないので不可能に近い。


「では、俺たちはこれで失礼しましょう。寛太殿、出来るだけ外に出るのは控えますよう」


 継司が忠告すると寛太は黙って頷いた。それを確認して、勇輝たちは一人、また一人と彼の住処を後にする。

 戸を抜けると、冷たい空気とは裏腹に、どこか生暖かくなるような重さが全身に纏わりついてきた。


「結界の中から出たおかげで、普段よりも呪いが感じられます。ここまで村全体を呪いの残滓が漂っているとは……」


 ――――あまりにも長く呪いと触れ過ぎて、感覚が麻痺していた。

 継司はそう言葉を漏らすが、常に結界が周囲にある勇輝も魔眼でそれははっきりと捉えていた。

 桜の張った結界の内と外では、明らかに靄の濃度が異なっている。

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