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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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2006/2383

死人に口なしⅤ

 一呼吸おいて、午式は丑式へ苦虫を噛みつぶしたような表情で語り掛ける。


「丑式。まさかとは思いますが、『返す』んですか?」

「んだ。しかも今回は小粒がわんさかおるみたいだから、回数制限もないし、そこまで酷いことにもならないだ。後は勇輝殿の眼もあるから、場合によってはすぐに見つかると思うだよ」


 自信満々の丑式と不安そうな午式。対照的な二人を交互に見ていた勇輝たちは、わずかではあるが不安寄りに気持ちが傾いていく。


「一応、この事件を預かっている者として、協力者の進言は最大限尊重したいです。しかし、その方法を事前に伝えていただかないと困ります。一体、何をしようとしているのですか?」

「あぁ、『呪詛返し』だよ。呪いを放った本人に返すのは呪いの対応の基本だよ。ただ防ぐだけだと永遠に呪われ続けるだけだからな。元を断つのが手っ取り早いだ」


 さらっと笑顔で言ってのける丑式に、勇輝は苦笑いを浮かべることしかできない。


「呪詛返しですか。確か、返された相手は自分が放った呪い以上の力を受けることになると聞いたことがありますが」

「んだ。それこそ『人を呪わば穴二つ』って言うように、呪った時点でどう足掻いても痕跡が残っちまうだ。当然、それを辿ってやれば術者に攻撃をし返すことができるだよ。でも、今回は少し目的が違うだ」


 あくまで、術者を完全に特定することが最初の目的。一撃で殺してしまったら、その後の処理が面倒になってしまう。


「助かります。今回の呪殺の原因が何であるかをはっきりさせなければ、こちらとしても面目が立ちませんので」


 呪殺という特異な手段であるが故に、その調査は慎重に行わなければならない。特に犯人が何者であり、どのように特定したかは、例え東雲家から特別の位と権限を与えられている継司であっても――――むしろ、与えられているからこそ――――重要視される。


「俺たち開藤家は犯人を捕まえる際に、いくつかの決まりがあります。呪う時の現場や呪う際に使われる道具の所持などを確認しなければいけません」

「幽霊だった場合は?」

「それこそ簡単です。霊が襲い掛かって来るかどうかです。基本的に悪霊の類であれば、人を襲うのが存在意義ですから。時々、その矛先が一部の人に向けられていたり、人ではなかったりする場合も無いわけではありませんが」


 後は巫女や僧侶などの呪いや霊に特化した者たちの調査に任せることになるという。

 普段なら、その合同調査も並行して行われるはずだったのだが、現在の日ノ本国では緊急事案への対処の為に、結界などの霊的対処ができる存在が不足していた。


「(七丸を助けるための準備か……)」


 過去の強大な魔物が封印されていた塚から出て来た鬼である茨木童子。その人間状態である七丸を救うため、そして、茨木童子の無力化を試みるために、結界が張られる中、鬼神の像の制作が行われている。

 広之に声がかかったのも、式神を用いて遠くにいながらも事件に対処できることと、霊や呪いといった存在にも詳しいということからだろう。


「それで、具体的にはどうやって行くんですか?」

「とりあえず、繋がりが薄いところから順に呪いを返していくんだな。その時に勇輝殿が呪いの変化を眼で追うことができれば、位置や人物を判断する手がかりを見つけることができるんだな。本当は二手に分かれて、犯人の様子を観察しながらやるところだけんど、そう簡単に亡霊が姿を現すとは思えないし、まだ、あの地縛霊が犯人と決まったわけでもないんだな」


 丑式はあくまで犯人の位置の特定を主眼に置いて、呪詛返しを行おうと考えているようだ。

 四辻に向かうならば地縛霊に対処するだけで事足りる。そうではない場所に向かうならば、それを見つけて対処する。彼女からすれば、もう相手は詰んでいるも同然であった。

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