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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第26巻 薄明の呪いに終止符を

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1997/2382

親交無き葬式Ⅴ

 寺へと歩いていく道すがら、継司なりに呪力の感覚というものを解説はしてくれた。

 彼が言うには、その呪う個人個人で違うらしく、ヘドロのように粘りついて来るものもあれば、道端のくっつきむしのように神経を研ぎ澄まさないと気付けないものまで様々だという。


「んだんだ。呪いとは言っても所詮は人の恨み辛み。気持ちがそのまま呪いに変換されるような物なんだな」

「つまりは、料理と同じで材料の種類や、質、量が違えばできるものも違うってこと?」


 感情が素材で、呪殺の手段が調理法。

 大抵の場合は呪いたい相手の体の一部を人の形に模した藁人形や木像などに入れたり結びつけたりして、それを傷つけることで同じ傷を本体にも与えるというものだ。

 同じ特徴をもつ者に影響を与えるという共感性とその人物の一部を触れさせることで同一と見なす感染性の二つの特徴をもつ呪法は多く存在していて、丑の刻参りはその最たるものだ。


「ファンメル王国でも呪いに関する授業はあるんだけど、直接相手に攻撃をする――――というか、自然物を操る魔法が発達してるせいで、日ノ本国ほど主流じゃないんだよね。それに威力も低いって言われてる。勇輝さんのガンドは別みたいだけど」


 魔力を相手の体内に打ち込むことで体調を崩させる呪い。使える勇輝自身も、その魔法がどのような原理で成り立っているかを理解していない。

 何せ、魔法学園で資料を漁っても、有効な資料はあまり見つからず、その原理も諸説あるようで正しいものが見つけられなかったからだ。


「一応、主流な説は『相手の魔力を体内から押し出そうとする自身の魔力によって引き起こされる不調』だっけかな? 無意識に魔力が集まることで不快感を感じたり、魔力の流れが滞って体に影響が出るとか」


 強力なものは撃ち込まれた衝撃で心臓が止まってしまうほどの威力をもつというが、それは現実でも普通に起こりうる。胸に大きな衝撃を加えられれば、野球のボールですらいとも容易く心臓振盪を引き起こす。その原因が魔力の塊か物体かの違いだ。

 しかし、勇輝のガンドはその遥か上を行く。魔法に耐性のあるミスリル原石の城壁を穿つほどの威力。無防備な人間に当たれば、心臓振盪などという生温いものでは収まらない。肉体を粉微塵に吹き飛ばし、下手をすれば跡形も残らないだろう。


「あぁ、巳式との戦闘で使ってたアレか。おらも見ていたけど、よくわからなかっただ。多分、呪いの範囲には入っていると思うだけんど、もう少し観察してみないとわからないだな」

「おや、丑式が呪い関係で困惑するとは珍しい。まあ、勇輝殿は色々と拙者たちの想定の上を行くから、仕方がありませんな」

「……そうなんだな。おらにもわからないことくらいあるんだな」


 珍しく丑式が肩を落とすと、しまったという感じで午式が彼女の背中を叩く。


「そんな気を落とすことじゃないでしょう。いつもみたいにドンと構えていてもらわないと調子が狂うじゃないですか」


 寺へと向かう罅割れた石段を登っていた丑式は、午式に叩かれた勢いで躓きそうになる。流石に危険を感じて、小言を言うと午式は笑ってそれを受け流していた。


「式神は初めて見たけど、なかなか個性豊かですね。それに呪いとは違って、纏っている雰囲気が温かいのも良い。広之様はなかなか良い術を使われるようです」

「そんなこともわかるんですか?」

「ははは、あくまで経験からくる勘ですけどね。それでも、当たっている自信はありますよ」


 元々、村の外れとはいえ、杭に囲まれているということもあり、寺もそこまで大きな面積を所有することはできない。その為、ほんのわずかな小高い丘に建てられているということで石段もすぐに昇り終えてしまう。


「あ、入ってしまう前に一つだけ聞いておきたいことがあるんですけど、大丈夫ですか?」

「はい、何でしょう?」

「今回は、継司さんがいたので呪殺と分かったということでしたが、ここのお坊さんではわからなかった、ということですよね?」


 本人たちのいる前で確認するのも失礼なので、勇輝は門をくぐる前に継司へと問いかけた。

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